「弁当箱に和菓子を詰めて」

「弁当箱に和菓子を詰めて」

料理家 / 竹中紘子さん

和菓子は、子どもの頃からいつも生活のひとつになっていました。
デパート巡りが大好きだった両親も、実家のおじいちゃんやおばあちゃんも、いつもお土産は季節の和菓子。
学校から帰る途中も、今日のおやつは何だろう?と、いつも急ぎ足になっていた。
生まれ育った家のそばにも昔ながらの和菓子屋さんがあって、
お祭りの時期に売り出される桜餅や草餅を心待ちにする子どもでした。

おはぎが店頭に並ぶようになると、そろそろお墓参りだなぁと思う。
お供え餅が並び始めると、もうすぐ冬休み、お正月だなぁと考える。
咲き誇る花と共に、和菓子はいつも私たちに季節の移ろいを教えてくれる羅針盤でした。

「弁当箱に和菓子を詰めて」 料理家 / 竹中紘子さん 01

暑くなってきたら、透明感があって涼しいお菓子が欲しくなる。寒天を使ったあんみつやところてん、つるっとした食感は、日本の夏に欠かせないものです。
寒くなると、今度はカロリーがあって、身体を温めるものが欲しくなる。
和菓子は、四季の国に生まれた私たちの幸福と、いつも隣り合っています。

「弁当箱に和菓子を詰めて」 料理家 / 竹中紘子さん 02

土日はしっかりと朝食を摂りますが、忙しい毎日は朝ごはん代わりによく和菓子を食べます。
目と脳を目覚めさせて、今日1日の仕事をスタートさせる。
朝の和菓子は、わたしの大切なエネルギーです。

「弁当箱に和菓子を詰めて」 料理家 / 竹中紘子さん 03

でも、少し自由な時間ができると、お弁当箱に和菓子を詰めて近くの公園に出かけます。
丁寧にコーヒーを淹れて、休日はワインのときもあるかな…。
仕事柄、冷蔵庫はふたつ使いですが、ひとつは食材、ひとつは和菓子とお酒用なんです。

「弁当箱に和菓子を詰めて」 料理家 / 竹中紘子さん 04

「口が濡れるところには、いつも人が集まる」、小さい頃いつもおばあちゃんが言ってました。
実家の縁側に近所の人たちの笑顔が重なり合っている風景は、わたしの原風景。料理家としての、わたしの原点かもしれません。
季節に出会い、人の笑顔に出会う。
和菓子はわたしに、いちばん大切な出会いの時間を運んでくれます。

「弁当箱に和菓子を詰めて」 料理家 / 竹中紘子さん 05