私だけのミックススタイルを楽しもう
講師:髙山エリ(スタイリスト)
雑誌や映画など幅広い分野で活躍するスタイリストの髙山エリさんに、ファッションを自由に取り入れ、自分だけのミックススタイルを楽しむヒントをご紹介いただきます。当日イベント会場では髙山さん自身による「ファッション相談室 スナックたかやま」ブースも開催。髙山さんといっしょに新しいスタイルづくりのきっかけを探してみませんか。
Instagramで服をいっぱい見て、あのブランドいいよねなんて言ってても、結局はお店に行ってみなきゃわからないんです。みんなダサいって思われたくないから、素敵に見えるように撮っているわけだし。私のInstagramの写真なんか、写真が下手すぎて超ダサいんですけど(笑)。ごはんだってそうだし、恋人だってそう。実際に付き合ってみないとわからないことが多いじゃないですか。
自分が本当に何を好きかがわからないということもあるかもしれないけど、それってきっと、単純に知らないだけなんです。私自身、小学生くらいのときから、なんでみんな同じような服を選ぶんだろうって不思議に思っていたのですが、東京に来て歩いてお店を探して、なんだこの店は!って、いろいろなことを知って。お店とそこで出会った人たちに育ててもらったんですよね。
世の中には死ぬほど店があって、死ぬほど服がありますよね。でも、何を選んだらいいのかわからないという人もたくさんいて。そこの手助けを少しでもできたらいいなって思います。だから、まずはこのお店に来てもらって(笑)。これからこの場所や、自分の仕事、立ち位置を通して、固定観念にとらわれないやり方で、面白いことをしていきたいって思っているところです。
納得がいかないお店にお金を落としたくないんです。もちろん服の値段はデザイナーや生地屋さん、縫った人への対価でもあるけれど、お店で服を買うということは、雰囲気だったりスタッフのサービスだったり、1回しかない時間を買うものだと思っているから。お店側もそういうプライドを持って、自分たちがどうしたいのかを打ち出していかなきゃいけない。
今は、発信する側が消費者に媚びている気がしていて、売れるかどうかばかりを考えている気がするんです。自分たちが何をしたいのかが見えなくて。誰が悪いということではないけれど、すべてが堂々巡りで悪循環になっている気がします。発信する側も消費者側も、覚悟をもって、自分たちは何をしたいのか、何を選ぶべきなのかを考える時期だと思うんです。
もちろん服を選ぶときは、パッと見て、わっと思えればそれでいい。ファッションって、本来そうじゃないですか。先日、パリコレが終わりましたが、COMME des GARÇONSのコレクションを見ていたら、画家の高橋真琴先生のイラストをバーンとプリントしたドレスが登場して。かっこいいなぁって、衝撃でした。もはやいいとか悪いとかじゃなく、川久保玲さんは高橋真琴先生と服をつくろうと決意したのか……と、素直に思って。
お店で売っている新しい服だけじゃなくて、古い服も同じです。私、服を捨てられないんですよ。いつも、「わぁ!」って思って買うから、この服を買ったときはこうだったな、これを着てデートしたなとか、甘酸っぱい思い出がありすぎて。今は着ないけどデザインが最高だな、なんて思っていると、全部とっておきたくなっちゃって。
今でも、中学2年生のときに8900円で買ったDO!FAMILYのスカートを穿いています。お小遣いを握りしめて緊張して買いに行った、そういう思い出はどうしても大事にしたくって。若い頃に買ったものが今着ると実は似合うこともありますし。母から譲り受けたもの、友だちから借りたままの服も(笑)、ありとあらゆる好きな服を組み合わせています。
よく好き勝手にやっているって言われるのですが、最近はもっと自由に生きていきたいって思っています。9月にニューヨークにひとりで行ったときに、自分でも思っていた以上に人の目を気にしていたんだなって実感したんですよ。向こうは本当に誰も周りの目を気にしていないから、毎日ノーブラで(笑)。自分と違う考えに出会ったら、私はこう思うと言ったり、ディスカッションしたり、納得できれば受け入れればいい。ファッションに限らず、自由ってそういうことだと思うんですよね。視野を広く、素直でいたい。
雑誌や映画など幅広い分野で活躍するスタイリストの髙山エリさんに、ファッションを自由に取り入れ、自分だけのミックススタイルを楽しむヒントをご紹介いただきます。当日イベント会場では髙山さん自身による「ファッション相談室 スナックたかやま」ブースも開催。髙山さんといっしょに新しいスタイルづくりのきっかけを探してみませんか。
文化服装学院卒業後、2007年よりフリーのスタイリストとして活動。2015年にはNHK連続テレビ小説「まれ」の衣装スタイリングを担当し、雑誌やMV、広告、映画など活動は多岐に渡る。2016年からはセレクトショップ「ハウス@ミキリハッシン」にてウィメンズのセレクトを監修する。
【ウェブサイト】http://takayamaeri.com