色も形も想像以上。お野菜の種類はいろいろ。

今回のワークショップは、季節の野菜を器に盛り付けて楽しむというものです。実はこれ、もとはスタッフの間の遊びなんですよ。数年前からチームで出張して30名分のお料理を1週間つくる仕事をしているんですが、まかないのとき、みんなで盛り付けをインスタグラムにアップしていて。フォロワーから「いいね」を一番多くもらえたら優勝（笑）。ラクダが好きな男子が野菜でラクダをつくったり、私はキリム織りをテーマにしたり。

そのうち、インスタグラムを見た方から「森、道、市場」というイベントでもやってほしいという依頼がきて、ケータリングと合わせて開催することになりました。お客さんの数がすごく多くて、1回20人くらいが参加して野菜の盛り付けを競ったたんですが、悔しくて泣く子もいたり、大人もけっこう真剣で。思っていた以上に盛り上がったんですよね。

CLASS ROOMでお野菜盛り付けバトルが行われるのは12月半ばだから、今回は冬野菜が並ぶことになると思います。たとえば大根ひとつとっても、紫色だったりのピンクだったり、中は白くて皮は赤かったり、いろんな種類があるんですよ。もちろん最後には食べますからそれぞれの野菜を味わえますし、こんなにいろんな色や形があることを知るだけでもきっと面白いと思います。

目で愛でて舌で味わえば、感性が刺激される。

野菜は、刻んだり調理すると形が見えなくなってしまいますよね。だからそのままの姿を見てほしくて、野菜のビジュアルが毎月楽しめるカレンダーを毎年つくっています。月ごとに旬の野菜を取り上げていて、今年のカレンダーだと7月はベビーズッキーニ。小さい姿を見られるのはこの時期だけなんです。4月は山菜のこごみ、これは渦巻き模様がすごくきれいで。

基本的に私の仕事は食べてもらうことなのでそちらを大事にしていますけど、形を愛でてから食べることは、より深く味わうことにもつながると思っています。辛味が強かったり甘かったり、見た目通りではない味がすることもあって、感性を刺激するんですよね。特に女性は、食べたことのないものにはキャーッてなるじゃないですか（笑）。

おいしいものを食べていると体も元気になるし、人にも優しくなれるし、仕事もうまくいくと思うんです。たとえばいい醤油でも、すごく高くて1000円程度でしょう。日常的な食って、ちょっとぜいたくをしても安上がりなんです。「エジプト塩」という調味料も、元々まるかじり野菜をおいしく食べるために生まれたもの。調味料次第で、いつもの野菜がこんなに味が濃いんだ、こんなに甘いんだって感じられるんですよ。

季節の食材が、クリエイションと元気をくれた。

野菜への愛が芽生えたのは、仕事として料理をつくるようになってからなんです。実は子どもの頃はそんなに好きではなくて、「野菜？　ふーん」くらいの感じでした。それが変わったのは、45rpmというファッションブランドの社員食堂の立ち上げに参加したことがきっかけです。

それまでは、働いていたレストランの決まったメニューがあって、そのメニューをつくるために業者からの野菜を使って料理していました。ところが社員食堂では「元気になるごはんをつくってほしい」と言われて、じゃあ季節の食材で料理をつくろうということになったんです。それまでと真逆のやり方で、料理の考え方もバーンと変わりました。

やりはじめてみたら、みんなはどういうものを欲しているのかなとか、私が今感じていることをどう料理で伝えようかとか、いろんなクリエイションが生まれてきて、しかも体がどんどん元気になって。お客さんもすごく喜んでくれて、季節の野菜を食べると元気になるねってみんなが言うんです。これ以上のことはないなと思って、それから暮らしがすごく楽しくなりました。

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• 季節を感じて五感を開けば、毎日の暮らしが彩られる。
  衣食住、すべてがつながっている。