2019.07.17
Report 1/3

東京パフェ案内

講師:斧屋(パフェ評論家)

7月講座の講師は、日本で唯一のパフェ評論家である斧屋さんでした。『東京パフェ学』(文化出版局)や『パフェ本』(小学館)を出版し、パフェの探究を続けてきた斧屋さんに、東京のパフェ店を紹介してもらったり、パフェの文化や食べ方を聞いてみたり。入門編から上級編まで教えてもらった、17日開催の講座をレポートします。

パフェとしゃべるように食べる

2019年、この日までに食べたパフェの数は229杯。1年365杯ペースを上回るほどパフェが暮らしの中心にある斧屋さんは、この日、パフェ初心者からディープなパフェ好きまで楽しめるように、パフェを食べることができるお店を4ステップに分けて紹介してくれました。

まずは入門編からですね。ここでは、食べに行こうと思ったら、比較的すぐに足を運べて、1000円以内で食べることができる、オススメのパフェを紹介します。

入門編に当てはまるのは、コンビニやデパ地下、ファミレスなどで買ったり食べたりできるパフェなのだそうです。例えばパフェに力を入れているコンビニのミニストップなら、店内で食べることも、食べ歩きすることもできます。

続いては初級編。パフェを好きになって食べはじめた人から、季節でどんなメニューが出ているのか気になってきた人まで楽しめる、1000円超えの人気店の紹介です。新宿区にあるパフェリオ本店や中央区にあるピエールマルコリーニ銀座本店、目黒区の果実園リーベルといった名前が挙がりました。

このようなお店にパフェ目当てで足を運んだ場合、斧屋さんは、どんな風に食べているのでしょう?

食べているときは、あまりしゃべりたくないんです。高級で手の込んだパフェほど、パフェに向き合って、集中する必要があります。私はパフェとしゃべるように食べています。

香り豊かないいパフェを

中級編にもなると、予約をしないと食べられなかったり、期間限定のパフェであったり、食べるチャンスが限られる分、クオリティは高くなるパフェが出そろいます。港区のエンポリオ アルマーニ カフェや世田谷区のPATISSERIE ASAKO IWAYANAGI、目黒区のリゼッタ 自由が丘店などをオススメしてくれました。

見た目にも鮮やかで、つい写真を撮りたくなるようなパフェ。斧屋さんも、パフェを撮影することはありますか?

真上と斜めと真横。3つの角度で撮っています。ただ、写真を気にするだけでなく、香りを確認するといいですよ。いい香りだと、いいパフェだなと思います。例えばお菓子屋さんのパフェの場合、ハーブをはじめ、香りになるいろんな要素が使われていたりもするんです。

いよいよ上級編。ここまできたら都内に納まらず、パフェを求めて小旅行をしたくなるような人に向けた遠方のお店ばかり。場所は北海道であったり、徳島県であったり。斧屋さんはこの春、ずっと行きたいと思っていた遠方のパフェのお店に行くことができたのだとか。

宮崎県のSEA BISCUIT PARLOURにやっと行けて、嬉しかったです。宮崎市の市街地に住む方でも、1時間半のドライブをしないと行けないような場所にあり、イラストレーターのお仕事との兼業ということもあって営業日も限定的。すぐに予約で埋まっちゃうお店なんですが、宮崎県や鹿児島県産のフルーツを使ったパフェが美味しくて、3つ食べちゃいました。素晴らしい体験で、幸せでしたね。

パフェのある特別な時間

新幹線や飛行機を利用して、片道何時間もかけて食べに行くパフェ。ふだん、パフェに慣れ親しんでいない入門者にとっては想像しにくい光景ですが、そんな風に「パフェのために時間をかけること」にも、魅力があると斧屋さんは言います。

予約をして、足を運んで食べに行くのは、気持ちの準備ができていいですよ。その日の目当てのパフェに合わせて、洋服を選んでみたり。そういうことができちゃうところもパフェの魅力かなと思います。

講義も後半に入り、参加者との質疑応答タイムを迎えました。この日、会場に集まった、9倍の当選倍率を通った参加者のなかには、パフェ好きの方々もたくさん。ふだん、パフェを食べ慣れているからこそ、改めて聞きたい質問が寄せられました。

Q.パフェに合わせる飲み物って何がいいと思いますか?

フルーツパーラーのパフェを食べるときであったら、食べている間は何も飲まないようにしています。フルーツの香りを飛ばさずに楽しむためです。お菓子屋さんのパフェや、チョコレート屋さんのパフェであれば、紅茶を合わせたりすることもできるんですけどね。

Q.斧屋さんは新しいパフェを見つけるときに、どうやって探していますか?

instagramにはパフェ関連のハッシュタグがあって、それを見るようにしています。私の場合は、まずグラスの底の方がどうなっているのかを見ていて。「単調になっていないかな」「食感素材が多すぎていないかな」とチェックしているんですね。それは、私が気にかけていることなので、みなさんも、みなさん自身で見る基準を身につけていくといいですよ。

最後は、CLASS ROOM恒例の質問に答えてもらい、交流会へと移ります。斧屋さんにとっての「良い暮らし」を教えてください。

簡単に言うと、自分を偉いと思わずに、パフェが偉いと思う暮らしでしょうか。新たなパフェに出会う暮らしは、良い暮らしです。今までの味覚や感性では嫌いだったものにも、こんな楽しみ方ができるのかと気づかせてくれる。何か新たなことに気づくことができ、自分が発展・成長できる心の余裕があることは大事だと思っていますね。

>>交流会の様子はこちら

斧屋(パフェ評論家)

パフェ評論家、ライター。「パフェはエンターテインメント」という視点からブログで独自のパフェレポートを執筆。パフェの魅力を多くの人に伝えるために、雑誌やラジオ、トークイベントなどで活動。2015年に『東京パフェ学』(文化出版局)、2018年に『パフェ本』(小学館)を単著で出版。

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