LMAP
LUMINE meets ART PROJECT

メインビジュアル

2022.11.17LUMINE meets ART

meets ART story #3

  • #INTERVIEW

なにげない日常に光を当て、そこに潜む 美しさや楽しみを表現。
西山寛紀さんのイラストレーションが教えてくれること

日常のなにげない行動や光景を独特の構図と色使いで描いた、爽やかでありながらどこかノスタルジックな作品で人気のイラストレーター、西山寛紀さん。書籍の挿画、企業やイベントのビジュアル制作など幅広く活動中で、最近では29年ぶりにリニューアルしたルミネ新宿 ルミネ1の外壁のウインドウアート(約2カ月の期間限定で現在は終了)を担当。「人々がまばゆい光のなかで鮮やかに咲く花に出会う様子を描き、作品を目にした人の心をそっと後押しできたらという願いを込めました」と西山さん。

西山さんが現在の道に進んだのは、高校時代、大好きなバンド「ナンバーガール」の影響で「自分も何か表現したい」と強く感じたのがきっかけ。多摩美術大学と同大の大学院でイラストを学び、卒業後は予備校の講師を務めながら、作品づくりに励んでいたそう。 「当時は、自分の感情が動かされたものをモチーフに制作をしていました。僕個人の内面を掘り下げて表現するという点では、イラストというより絵画制作のアプローチに近かったかもしれません」

作風が変化し始めたのは7年ほど前のこと。
「内側ではなく外側のいろいろなものに柔軟に反応していきたい、というふうに気持ちが変わってきて。当たり前にあるもの、普遍的なものに潜んでいる美しさや楽しさのようなものを、自分なりに捉えてみたいなと」

顔を洗う、ヨガをするなど、日常のひとときのもつ尊さを穏やかに切り取った西山さんの作品は、多くの人の共感を集めるように。
「例えば、朝は毎日やってくるけれど、部屋を照らす光や漂う空気の表情って毎朝違いますよね。目覚めた瞬間、『暑い』とか『この時間なのに暗い』とか、何かしらの変化を感じることも珍しくない。そんなふうに日常のふとしたタイミングに訪れる小さな驚きや心地よさを、シンプルな色と形だけで表現できたらと思っています」

いつもの光景のどんなところに面白みや新鮮みを見いだすか。これからも自らのセンサーを磨いていきたいという西山さん。最近は自炊を楽しんでいるのだとか。
「お米を研いで炊いて、味噌汁を作って、魚を焼いて。食材によって、買うスーパーを変えたりして(笑)。そんな小さな幸せが、いい作品づくりにつながっているのかも?と思う今日このごろです」

作品イメージ

アトリエで制作中の西山さん。PCで描くこともあれば、手描きすることもある。

作品イメージ

ルミネ新宿 ルミネ1外壁の《IN BLOOM》のスケッチ。試行錯誤の末、ショッピングを楽しむ人々とまばゆい光、鮮やかな花のイメージへたどり着いた。

作品イメージ

実際の展示風景。6月27日〜8月17日に街を彩り、SNSでも話題に。

Text: Kaori Shimura Photo: Ittetsu Matsuoka(上、中) Design: Satoko Miyakoshi Edit: Sayuri Kobayashi

※本記事は2022年09月26日に『AERA』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。

  • LUMINE meets ART PROJECT

    LUMINE meets ART PROJECT
    アートと人々の未来の地図を描くプロジェクト。
    お客さまの日々の生活を豊かにする「アートのある毎日」を提案。
    ルミネ館内における展示や、暮らしに取り入れやすい作品を揃えたアートフェアの開催など、アートとの自由な出合いの場を創出します。