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可愛いのに、本気でサステナブル。「O0u」という新たな選択  

2022.12.13

2021年にデビューした「O0u(オー・ゼロ・ユー)」は、サステナブルな生き方を目指すすべての人たちに寄り添うファッション&ライフスタイルブランド。地球環境に負荷をかけない素材選びや、長く着続けられる洗練されたデザインなど、これからの時代にふさわしい、持続可能なおしゃれを提案しています。「O0u」の現在の取り組みと今後の展望について、マーケティングディレクターの坂田文子さんに語っていただきました。

サステナビリティへの取り組みを加速するために

サステナブルであることに真摯に取り組みながら、デザインが可愛くて、値段も手ごろ。「O0u」は今の時代にぴったりの、“かゆいところに手が届く”ブランドだ。

その名にある3つの文字は、始まりも終わりもない円で形づくられる「O(オー)」と「0(ゼロ)」、そして、未完成の円であり、YOU(あなた)と同じ音を持つ「u(ユー)」。異なる形の円のように見えるこれらの組み合わせは、多様な美しさ、使い方や過ごし方によって変化するプロダクトのあり方、その延長線上にある循環型の社会を表している。

運営しているのは、「グローバルワーク」「ニコアンド」などを展開しているアパレルメーカー「アダストリア」の子会社、「アドアーリンク」。ブランドが誕生した背景を、マーケティングディレクターの坂田文子さんはこう語る。

「ファッション業界のサステナビリティに対する取り組みは、他業界に比べるとまだまだ遅れていると感じます。業界におけるサーキュラーエコノミーの実現を目指すとともに、アダストリアのサステナビリティ経営を加速させる役割として設立された『アドアーリンク』のなかで、『O0u』がスタートしました。やがては『O0u』をモデルケースに、アダストリアのほかのブランドにも波及させていけたらと考えています」

学生時代からサステナビリティに興味をもっていたという坂田さん。11年前に別のアパレル会社からアダストリアに転職、同社の他ブランドのPRを担当していた4、5年ほど前から、大学生を中心とする若い世代のサステナビリティに対する意識がグンと上がったのを実感していたそう。

「『環境問題に対してどんな取り組みをしているんですか?』『売れ残った商品はどうなるんですか?』といった質問が多く寄せられるようになって。アメリカの若者の間では当時すでに『消費行動は投票である』という考え方が浸透していましたが、その流れは日本にも必ず来るなと感じていました」

「O0u」のマーケティングディレクター、坂田文子(さかた・あやこ)さん。大学生の頃はジェンダーの平等についてゼミで学んでいたそうで、女性が働きやすい職場づくりにも励んでいる

製造工程における環境負荷を見える化

「O0u」は、まさにそんな時代のニーズに呼応していると言えるだろう。2021年のデビュー以来、サステナブルなファッションを提案する注目ブランドとしてメディアで取り上げられる機会も多く、ファンが増え続けている。

「ファッションは楽しむもの、という思いが根底にありますので、商品がファッショナブルで高揚感を得られることと、できるだけ価格を抑えることにはこだわっています。そのうえで、地球環境だけでなく、スタッフが働く環境や製造に関わる人たちの働き方への配慮など、『できることから、無理なく』をモットーに、サステナブルなものづくりを行っています」

例えば、アパレル全商品に地球環境に配慮した素材を使うこと。再生ポリエステルなどのリサイクル素材や、ウールやシルクといった自然に還る天然素材を採用している。さらに斬新なのが、その商品の製造工程において、どのくらいの環境負荷がかかったのかを見える化していることだ。

「持続可能なアパレル産業構築を目指す非営利団体サステナブル・アパレル・コーリション(SAC)が開発した、環境負荷を見える化する指標を採用。それぞれのアイテムに対して、どれだけのCO2(二酸化炭素)を排出して、どのくらいの水を使用したのかを開示しています」

「O0u」のウェブサイトの商品ページでは、一般的な商品と比べて環境負荷をどれだけ削減できているかがひと目でわかるようになっている。

「負荷をあまり削減できていないアイテムもありますが、『今後もっと頑張っていきます』という思いで、あえて表示しています。情報をオープンにして、透明性を保つことが大切だと考えています」

廃棄リンゴ由来のビーガンレザーであるアップルレザーを用いたバッグ。ビーガンレザーのなかでも比較的なめらかで発色がよく、タフで長く使えるのがうれしい

いずれは受注生産とし、ムダをなくす

一度購入した服を長く着てもらえるために配慮するのも、「O0u」のサステナブルな取り組みのひとつ。オンとオフのどちらでも使えるシンプルで洗練されたデザインで、ウィメンズ、メンズに加えてユニセックスなアイテムも多数展開。ジェンダーや体形にかかわらず、いろいろな人がそのアイテムを長く楽しめるような工夫が施されている。

「ライフステージの変化とともに体形が変わっても、美しく着られるデザインを目指しています。袖を取り外せたり、前後ろ逆に着ることもできたりと、2wayや3wayで楽しめる服が多いのも、着こなしの幅が多ければ、飽きずに長く着ていただけるかなという思いから。今後は、商品の補修や着なくなった商品を回収してアップサイクルするサービスも整えていく予定です」

このほか、デザインやパターンに3DCG技術を活用することで、商品の制作プロセスに欠かせないサンプルの数を絞って廃棄量を減らす、AIによる需要予測で過剰な生産と在庫を削減するなど、さまざまなプランが進行中。なかでも特に力を入れているのが、受注生産を増やしていくこと。

「現在は一部のアイテムで受注販売・予約販売を導入しています。予約数に応じて最初の生産量を適正化し、売れ行きがよければ追加する、というふうに、アイテムによって生産数を細かく変えることで、過剰生産によるムダを減らせます。いずれは、もっと多くのアイテムを受注生産にしていくのが目標です」

手前はペットボトルを再利用したリサイクルポリエステルを使った人気のシリーズ。奥のニットは無染色で、製作工程における水使用量の削減に貢献

みんなが幸せに働けることが大事

「O0u」のサステナビリティへの取り組みは、生産者側にとっては、手間のかかる工程も多い。だからこそ、取り組みを継続していくには、関わるすべての人が無理なく働ける環境づくりも大事、と坂田さんは言う。

「サステナブルを目指すブランドに携わっている人たちが心地よく働けない環境にいるとしたら、おかしなことですよね。社内のメンバーだけでなく、素材の産地や工場の方々を含めて、みんなが幸せに働ける状態をキープすることも重要だと、個人的には思っています」

同じような思いをもつパートナー企業や顧客とともに、「O0u」の輪をもっと広げていきたい、と坂田さん。新しい服や小物が欲しいなと思ったら、まずは「O0u」のECサイトやポップアップストアを覗いてみる。そんなおしゃれで手軽な未来への貢献、あなたも始めてみては?

 

「O0u」では商品の販売価格を抑えるために、常設店を持たず、ECサイトとポップアップストアのみで販売している。ルミネ新宿 ルミネ2の4階のポップアップストアは2023年1月31日まで営業予定

■O0u
https://o0u.com/

※本記事は2022年12月13に『telling,』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。

Text: Kaori Shimura Photograph: Ittetsu Matsuoka Edit: Sayuri Kobayashi

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