LUMINE MAGAZINE

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SUSTAINABLE

WINDOW DISPLAY

⽊を使って循環させる…新しいサステナブルな取り組み

2023.10.17

FRaUとタッグを組んだウィンドウディスプレイ

本記事は2023年10月6日に『FRaU the Earth』に掲載された記事を再編集しています。



毎シーズン私たちを惹き付けるルミネのウィンドウディスプレイは、伝えたいメッセージをファッションを通してビジュアル化し、道ゆく人々に共有する大切な「顔」になっている。2023年秋冬は『Wild & Primitive 自然が教えてくれること』をテーマに掲げ、FRaUとタッグを組んだ。環境と社会にポジティブな変化をもたらし、ウィンドウを見た人たちにとって、学びの機会や行動変えるきっかけとなることを目指したデザインが10月5日からルミネ9館、約40カ所のウィンドウで展開される。

たくさんの想いが込められているディスプレイだが、その裏側を知る機会は意外とない。そこで今回本記事では、テーマを『Wild & Primitive』に決めた理由や、FRaUとタッグを組むことになった経緯、ディスプレイに込められた想いなどをお伝えする。

2022年AWのウィンドウ。テーマは「Listen to My Inner Voice(自然に包まれ、自分に還る)」

「ライフバリューテーマ」をウィンドウで提案

行き交う歩行者の目を、年間を通して楽しませてくれるルミネのウィンドウディスプレイ。季節の変わり目を感じたり、欲しいものを考えたり……。「ウィンドウを眺める」、そんな何気ない瞬間が、人々にさまざまなことを感じさせるきっかけを作っている。そんなウィンドウディスプレイを制作するに当たり大切にしていることや、今期のテーマについて、ルミネのウィンドウディスプレイ担当者に話を聞いた。

「ルミネでは、お客さまに新しい価値観や考え方のきっかけを提案する“ライフバリューテーマ”という、切り口をシーズンごとに設けています。それを視覚的に届けるのがウィンドウディスプレイの役割です。そのなかでも最も大事にしていることは、お客さまにパッと見てワクワク・ドキドキした気持ちになって頂くこと。テーマを直接的に表現するのではなく、目にした時に『何だろう?』と、つい気になってしまう“引っ掛かり”のようなものになればいいと思っています。そして、少し先の季節感も大切にしているので、ウィンドウを見て『そろそろ秋物を見てみようかな』と、ルミネに足を運んで頂けるきっかけになれば嬉しいです。

今期のテーマは『Wild & Primitive 自然が教えてくれること』。トレッキングや屋外サウナといった、自然の中で楽しむアクティビティの人気が高まる昨今、自然に触れることで、気が付くことは沢山あります。“サステナブル“は日々浸透していますが、改めて自然に敬意を払い、人間は自然の中の一部であるということを想うきっかけになればと設定したテーマです。テーマのキーワードは、エシカルやエココンシャス、アップサイクル素材などの最新技術と⾃然との融合。それをウィンドウの中で表現したいと考えました」

ルミネでは、2021年10月にルミネのサステナビリティ方針『WE ILLUMINATE THE FUTURE ~わたしが選ぶ毎日が、わたしたちの未来をつくっていく』を策定。2022年度からはルミネ全体で、そのサステナビリティ方針を意識した取り組みをおこなっている。VMDチームも、再生ペットボトルを使用した壁面タペストリーを作成し、継続使用(一部箇所)したり、過去にルミネのウィンドウディスプレイで使用し廃材となったものをアップサイクルして展開するなど、一回で終わらないディスプレイにも挑戦しているという。現在は年に1度、サステナブルを強化したディスプレイを展開をしており、これを継続していきたい、と担当者は語る。

ルミネ新宿 角筈ウィンドウ

注目しているのは、木を「使う」こと

日本の女性誌のなかでもいち早くSDGsの特集を組んだFRaU。今回のルミネとの取り組みにおいてFRaUが提案した、「サステナブル」を意識したデザインとは一体どのようなものだったのか。本誌編集長の関龍彦に、SDGsを取り巻く日本の現状を踏まえつつ、今回のデザイン提案の経緯を聞いた。

「FRaUがSDGsを特集し始めた数年前は、北欧などのSDGs先進国に追いつき追い越そうという記事を中心に扱っていました。今は、サステナブルが当たり前に語られるようになり、他国を真似るのではなく、日本ならではの方策をスタートさせなければいけない時期に入った。そのことを、しっかり伝えたいという想いがあります。その上で、ルミネさんとも話し合いをし、今回のテーマとマッチしそうな“木”をディスプレイに利用するというご提案をさせていただいたんです」

一般的に、木は保護すべきものという印象が強いが、なぜあえて木を利用するディスプレイを提案したのだろうか。

「私たちは、今、 “⽊を利⽤する”ことに注⽬しているんです。⽊の需要が伸びれば、供給も伸びる。間伐が進めば、空間ができ、陽が⼊る。植物、昆⾍、動物の多様性に繋がる。⼟も肥え、豊かな森になる。『⽣育するたくさんの樹⽊たちを、ただ保護するのではなく、 私たちの⽣活に取り⼊れることが、⽇本の未来を明るくする!』。使って、リユースして、また植える、その循環こそが豊かな⾃然を守ることに繋がります。そのことにもっと気づいてもらいたいと感じて、今回のウィンドウディスプレイで“木”の使用を提案しました。

日本は世界屈指の森林率を誇りながら、建材の多くを輸入に頼るなど、国産木材を活かせていない状況にあります。CO2削減のためにも、木を守るばかりではなく、ちゃんと使い、新たに植えていくことが大事だと考えます。日本ならではのSDGsを推進するうえで、アキレス腱にもなれば成功の鍵にもなりうる“木”について、このウィンドウを通じて、もっと関心を持ってもらいたいと思っています。

とはいえ、いきなり“木”に興味を持ってもらうことは難しいことですから、今回お話をいただいて、街中でいつも目にするルミネのウィンドウが、“木”をテーマにしたデザインなら……と考えました。まずは『どうして木を使っているんだろう?』という疑問からでいいんです。そこから興味を持ってもらえたら!と思っています」

毎シーズン注目を集めているルミネのウィンドウディスプレイ。今回の取り組みをきっかけに少しでも“木”に注目が集まり、自然について考えるきっかけになれば嬉しい。


構成・文/本間綾
期間/2023年10月5日(木)~11月15日(水)予定
ウィンドウテーマ/Wild & Primitive 自然が教えてくれること
実施館/ルミネ新宿、ルミネエスト新宿、ルミネ有楽町、ルミネ北千住、ルミネ池袋、ルミネ町田、ルミネ荻窪、ルミネ大宮、ルミネ横浜

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