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樹木の恵みを受け取ることから始まる循環のかたち。スキン&マインドケアブランド「BAUM」の哲学とは?

2020.11.10

「樹木との共生」をテーマに、今年6月に誕生したスキン&マインドケアブランド「BAUM(バウム)」。化粧品成分はもちろん、パッケージデザインや店舗体験、オンラインイベントなどさまざまなアイデアを通して、樹木の恵みを受け取り、感謝し、樹木資源を未来につないでいくという新たな価値を提案しています。

森林浴をしているかのような気分になれる使用感

ナチュラルトーンの木枠にすっぽりと覆われた、今までに見たことのないルックスのローションやオイル。そっとフタを開けると、ほんのりとした樹木の香りに心がなごむ。2020年6月に誕生した「BAUM」は、「樹木との共生」がテーマのスキン&マインドケアブランド。樹木の恵みを余すところなく受け取り、感謝し、樹木資源を未来につないでいくことを目指している。

すべての化粧品はパラベン、シリコン、合成着色料を使用せず、90パーセント以上を自然由来の素材*から製造。スキンケアのステップは「クレンジング」「ハイドレーション」「モイスチャーライザー」とシンプル。顔、ハンド&ボディー用のスキンケアアイテムのほか、ルームスプレーやアロマキャンドルなどもあり、いずれも試してみると、まるで森林浴をしているかのようなリラックスした気分に。

*全化粧品において自然由来指数90パーセント以上(水含む)、ISO16128準拠

左は人気アイテムの「バウム ハイドロ エッセンスローション」(150ml 7,150円(税込み))。右は「バウム モイスチャライジング オイル」(60ml 8,800円(税込み))

よい循環を生みだす象徴として、樹木にフォーカス

「BAUMでは、ルームスプレーやアロマキャンドルの香りでリラックス空間をつくってからスキンケアを始める『リチュアル』を提案しています。BAUMの香りにはさまざまな樹木のエッセンスを配合しているのですが、いずれも森林浴をしたような効果をもたらすといわれる“フィトンチッド”成分を含むシダーウッドがベースになっています」

そう説明してくれたのは、BAUMのグローバルブランドマネージャーの西脇文美さん。BAUMの企画や開発の多くの部分を担ってきた中心人物だ。実はBAUMを立ち上げたのは、資生堂。今から3年ほど前に、社内で「サステナブル」「ナチュラル」をテーマに掲げた新ブランドを開発する話が持ち上がったと西脇さんは語る。自然界の恵みというとさまざまなものが思い浮かぶが、なぜ、樹木に着目したのだろうか。

「開発にあたり念頭にあったのが、よい循環を生んでいくブランドをつくりたい、という思いでした。そのメッセージを消費者にわかりやすく伝えるには、日本人が暮らしのなかで古くから親しみ、切ってはまた植えて、という循環を繰り返してきた樹木という資源が、とても象徴的だと感じたんです。しかも何百年、何千年と生きる樹木は、まさに生命の神秘。その生命の力をビューティーの製品に応用するのは、ある意味、新しいアプローチなのではないかと考えました」

いかにも女性という雰囲気ではない、ジェンダーニュートラルな素材であることも理由のひとつ。また、BAUM、つまり年輪は、見た目にも循環を感じさせると同時に時間の経過とともに積み重ねていくイメージも想起させます。そのイメージから、樹木の恩恵を享受した人々が循環だけでなく積み重ねることによって、美しさを輝かせていくさまを表現したかったという。

西脇文美さん。外資系投資銀行・外資系戦略コンサルティングファームを経て、日本ロレアルにて化粧品マーケティング業務に携わったのち、2016年、資生堂経営戦略部に参画

カリモク家具とのコラボにより木製パーツを実現

木枠や木のフタなど、製品パッケージに用いられている木製のパーツは、カリモク家具とのコラボレーションにより生まれたもの。家具の製造工程で余ったオーク(ナラ)の小さな端材(はざい)を再生利用したもので、カリモクの工場で生産されている。レフィルを購入すれば、木製パーツ部分は繰り返し使えるので、まさに今の時代にふさわしいサステナブルなアイテムといえるが、開発には苦労もあったのだとか。

「まず、設計上の難しさがありました。木材は常に呼吸をしていて、天候次第で伸び縮みを繰り返すので、プラスチックやガラスといった異素材と組み合わせるのが難しいんです。ほかにもさまざまなハードルがありましたが、この商品は必ずや多くの消費者の心をとらえるはずだと確信していたので、迷いなく突き進むことができましたね」

「バウム アロマティック ハンドクリーム」(L 150g 5,500円(税込み))と「バウム アロマティック ハンドウォッシュ」(300ml 3,300円(税込み))はギフトにも最適

感謝がサステナブルにつながる、そのきっかけづくり

強い信念のもとに生まれたBAUMはリリースと同時に大きな話題となり、発売から2カ月で想定の2倍以上の売り上げを達成。顧客は20代から30代が中心で、男性のファンも多いという。去る10月8日の“木の日”(「十」と「八」を組み合わせると「木」の字になることから。しかも今年は木曜日だった)にはオンラインイベント「BAUM TREEDAY」を開催。音楽家の阿部海太郎さん、徳澤青弦さんによる演奏や、BAUMのパッケージを手がけたプロダクトデザイナーの熊野亘さんとアーティストの諏訪綾子さんによる対談が行われた。今後も製品やイベントを通して、BAUMの哲学に対する共感やクリエーションの輪を広げていきたい、と西脇さん。

「化粧品はラグジュアリー感を楽しむもの。それが結果的にサステナブルにつながるというのが、私たちが掲げる理想です。BAUMを通して樹木の恵みを受け取り、『自然の恵みっていいな』と感じていただければ、おのずと感謝が生まれ、自然に対してお返しがしたくなると思うんです。そのためには、BAUMは化粧品として、どこまでも魅力的でなくてはならない。品質はもちろんデザインにもこだわりぬくことで初めて、サステナブルへのきっかけを提供できると考えています」

BAUMの各店舗内にはオーク(ナラ)やヒノキの苗木を育てるコーナーがあり、成長後に「BAUMの森」に植樹するという取り組みも。さまざまなかたちで私たちの五感に働きかけ、インスピレーションを刺激してくれるBAUMは、新しい時代のラグジュアリーのあり方を体現するブランドといえるだろう。

ニュウマン横浜店。店舗ではショッピングバッグの無償配布を行わず、代わりにオリジナルのエコバッグを販売。ルームスプレーの香りもムエットではなくストーンに吹きかけて試すスタイルで、ペーパーレスを徹底

■BAUM
https://www.baumjapan.com/baum/index.html


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※本記事は2020年11月10日に『telling,』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。

Text: Kaori Shimura Photograph: Ittetsu Matsuoka Edit: Sayuri Kobayashi

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