Tachikawaspecial Special edition

vol.6 山下農園
山下明さん

先祖代々受け継いできた畑で
東京うどを
はじめとする作物を育てる山下明さん。
農業体験やウドフェスなどの取り組み、
そして今後の展望を伺いました。

Interview 1山下農園はいつから立川で
農業を営んでいるのでしょうか?

始まりは幕末の
新田開発です。

元々私の先祖は八王子に住んでいたのですが、江戸時代末期、新田開発(★)のために砂川の地へ入植。それから養蚕を経て、1950年代から東京うどやその他の野菜を育て始めたそうです。ちなみに東京うどは、低温度で光が入らない「うど室(むろ)」と呼ばれる場所で育てるのですが、この生産方法は、第二次世界大戦中に防空壕へ誰かがうどを持ち込んだことで、偶然生み出されたそうですよ。

★新田開発とは…江戸時代後期に行われた、原野・山林などを
新たな農耕地へと開発する事業のこと。

Interview 2現在はどんな作物が
穫れるのでしょうか?

東京うど、トマト、
トウモロコシ、
大根、白菜など、
季節によって様々です。

12月から4月にかけては、立川の特産品でもある「東京うど」を育てています。だいたい1シーズンにつき4回出荷しており、楽しみにしてくれている常連さんも多いですね。4月以降はトマト、ピーマン、キュウリなどを、そして秋冬は大根や白菜などを生産しています。ときには取引先などから要望のあった作物を育てることもあります。

Interview 3取り組まれている「農業体験」に
ついて教えてください。

子どもたちの
立ち直り支援の
一環として農業体験を
行っています。

立川エリアの警察署と協力して、補導された未成年や不登校の子どもたちを対象に、種まきや苗植え、収穫・出荷・販売まで一通り体験してもらっています。時間や手間をかけ、野菜を育てる過程は小さな成功体験に繋がり、彼らの自信や希望を育みます。また、自ら育てた野菜を売ることは社会と関わるきっかけになり、新たな価値観の発見にも繋がっていると考えています。農園へ来るたびに生き生きと積極的になる子どもたちの様子を見ると、私も嬉しくなりますね。

Interview 4食や音楽などが楽しめる
「ウドフェス」を
開催された経緯を
教えてください。

きっかけは
友人の息子さんと
その仲間からの
お誘いでした。

料理人やアーティストなど様々な活動をしている彼らの間で「自分の地元をもっと盛り上げたい」と話が上がり、うど室もある私の農場に白羽の矢が立ったようです。当日はフードや野菜、雑貨のテントが並び、トラックを使った畑のステージではライブが行われ、とても盛り上がりました。うど室を一般の方に見てもらうこともできて、とても良い機会になったと感じています。ぜひまた開催したいですね。

Interview 5今後、立川エリアで
挑戦したいことを教えてください。

農業を通して
「体験」という
価値も
提供して
いきたいですね。

様々な形で農業を体験できる機会をつくっていきたいです。土に触れ、野菜の成長に携わっていただくことで、野菜をもっと美味しく感じていただけると思いますし、それが農業全体を元気にする第一歩だと信じています。また、何かを育てる体験はその人の価値観にも良い影響を与えると考えています。もしルミネ立川とコラボするなら、ポップアップショップや農業体験ワークショップの開催などができたら面白いなと思います。

profile

山下農園
山下明さん

生まれも育ちも立川。元々測量の仕事をしていたが、父の怪我をきっかけに跡を継ぎ農業を営む。その傍ら、地元の少年補導員としても活動し、未成年の立ち直り支援として農業体験の機会を提供。その功績が認められ、内閣総理大臣から表彰されたこともある。

about

山下農園
東京都立川市上砂町4-1-6