ハワイ学
プライベート、仕事を問わず年に3〜4回はハワイへ、その渡航回数はすでに100回以上! 雑誌や書籍の編集者として活躍する赤澤かおりさんは、ハワイに関する著書も多い、自他ともに認める「ハワイ好き」。そんな達人が教えてくれたのは、「ハワイで大切にしていること」でした。
ハワイの空気と言葉で自分を満たす
ハワイに着くと、まるで儀式のように必ず行うことがいくつかある、と赤澤さん。まずは空港から小さく見えるダイヤモンドヘッドに、心の中で「また来たよ」とごあいさつ。すると「帰ってきたな〜」という感じがするのだそう。
そして、深呼吸。東京で生活していると(ハワイでもらったパワーの)“血中濃度”が低くなってしまうので、到着したらハワイの空気を胸いっぱい吸い込みます。そして、海にちゃぷんと浸かる。そうすると、体が軽くなっていくのがわかるんです。海に入るのって、ある種の癒し。パワースポットとしても知られる海水と真水が交わる「カヴェヘヴェ」が、現地の人の傷や病気を癒してきたように、ハワイの海はいろいろなものを洗い流して、心をまっさらにしてくれるんです。
そして、滞在中、とくに大切にしているのが「あいさつ」。できるだけ現地の言葉を使って、にっこり笑ってあいさつする。誰かと目が合ったら「アロハ」、何かしてもらったら「マハロ」など、ちょっとしたことだけど、ハワイ語を大切にする現地の人との距離が、ぐっと縮まるといいます。
br>※写真の『MAHALO BOOK』の表紙は、実際に発売されているものとは異なります。
「がまんしない」ことが直感力を高めてくれる
次に教えてくれたのは、これも「大切なこと」だという、ハワイの食について。朝は薄い赤身肉のステーキ、大好きなマカロニサラダはトーストに挟んでおやつがわりに。流行のパンケーキは目玉焼きとカリカリのベーコンを添えて。ハワイのドーナッツ・マラサダに、マカロニチーズに片面焼きの2エッグ……。
カロリーは気にせず、どんどん食べます。ハワイは、自分を解き放って、本来人間に備わっている力を発揮できる場所。だから、食べたいものも、やりたいことも、何も我慢しない。そうすることで、道に迷って「どっちかな?」って思ったときに直感的に正しい道を選べる、そんな力を呼び覚ましてくれる気がしています。
本の制作で長期間滞在するときは、スタッフが「自分を脱ぎ捨てていく」過程がよくわかる。カメラマンさんは自分の撮りたいものを自由にどんどん撮影していたり、編集者が撮影用の食べ物をいつの間にか食べてしまったり……(笑)。もちろん仕事をきちんとすることは大切だけど、もっと重要なのは、自分たちが楽しむこと。
とにかく、いい意味で「決まっていることが少ない」んです。だから、こうしたいという意思表示を伝えたり、チャレンジすることが大事。たとえば、レストランでもどこでも、何かお願いすると「OK」って、できるかぎりのことをしてくれます。ハワイの人は、みんな優しいから。みなさんも、ぜひ一歩踏み込んで、自分のやりたいことをやっていただければと思います。
サンセットの美しさに、気づいたら泣いていた
そのほか、「アウトリガーリーフ」などお気に入りのホテル、カウアイ島のファーマーズマーケット、アロハシャツをリメイクしたファッション……。2007年以来、年1冊のペースでハワイ本を出し続けていても「伝えたいことが、まだまだある」と、たくさんのおすすめを教えてくれました。
最後に、もうひとつ「大切なこと」を。私は、ハワイのサンセットの時間を大切にしていて、毎日、どこかで夕暮れを見届けるようにしています。ローカルの人も、気に入った場所で夕暮れを見にいったりして、今日もありがとうって一日を締めくくる。気づいたら泣いていたりすることもあるくらい、素晴らしいですよ。そんな場所は、世界でもまれだと思います。
締めくくりに「赤澤さんにとって、よい暮らしとは?」と問われて出てきたのは、「笑いと音楽がある暮らし」という答え。
音楽を聴いていると、難しいことを考えていても笑顔になったりしますよね。今はみんな、忙しくて気持ちが“ぎゅっ”となっている。それを、ゆるめてくれるのが、音楽と笑いだと思うんです。要は……「ゆるい暮らし」ってことですかね?(笑)
赤澤かおり(編集者)
料理、暮らしまわり、旅をテーマに、雑誌や書籍で執筆、編集をしている。ハワイ渡航歴は100回を超え、さまざまな媒体でのハワイに関するコラム執筆も多数。ユーズドのアロハシャツをリメイクした服のブランド「Aloha Tailor of Waikiki」を主宰。主な著書に『THIS IS GUIDE BOOK IN HAWAII』『Travel Hawaii』(主婦と生活社)などがある。