2019.08.28
Report 1/3

働き方も自分らしく楽しむ

講師:江澤身和(株式会社スープストックトーキョー 取締役副社長)

8月講座は、株式会社スープストックトーキョー取締役副社長 兼 店舗営業部長の江澤身和さんをお迎えしました。「働き方“開拓”」と銘打って、年間休日休暇120日を確保する「生活価値拡充休暇」や、複業解禁で個人の仕事の幅を広げる「ピボットワーク制度」など、人を大切にする人事制度をつくる江澤さんに、働く上で大切にしていることを教えてもらいました。

向き不向きに苦しまないように

2019年9月現在、スープストックトーキョーの取締役副社長と店舗営業部長を兼任する江澤さんにも、駆け出しの時期はありました。就職活動をせず、3つ目のアルバイトとして、2005年2月に働き始めたのが株式会社スマイルズの運営するスープストックトーキョーです。チームで働くことを楽しいと感じていた江澤さんは、翌々年、店長になりました。それは念願叶った瞬間。

店長としてやりがいのある毎日を過ごし、モチベーションも日に日に高まるなか、5年9ヶ月が経ったときのことです。突然、江澤さんは法人営業へ異動することになりました。

店長という好きな仕事から離れるのは嫌でしたから、最初は断りました。でも親友や上司に相談して、試しにやってみるという気持ちで異動したんです。それが、あまり成果も出せず、次第に気持ちが落ち込んでいきました。

そんな江澤さんに、上司が伝えた一言は、ずっと教訓として残るものになりました。

向き不向きは自分で決めることじゃない。そう言ってもらったことに衝撃を受けました。自分で自分をダメだと決めるのは、気持ちが逃げていたんだと思って、そのあとに『でも、向いていると思うよ』と言ってくれたことで、法人営業に対して、少しずつ気持ちが向くようになったんです。

素直な気持ちと向き合うこと

店長経験にはじまり、親友や上司のアドバイスに励まされながら働いてきた江澤さんは、経験を重ねるにつれ、チームで働く楽しさをより深く感じていきました。自分を慕う後輩も増え、相談相手の先輩もできるなか、2015年10月に人材開発部長になりました。翌年、スープストックトーキョーの分社にともない、取締役に就任し、2019年春から取締役副社長として働いています。

スープストックトーキョーでの入社年月を経るに従い、チーム全体をより深く見る役回りが増えていった江澤さんには、「働き方も自分らしく楽しむ」ために大切な心がけがあるようです。

<対自分>で大切にしていることは4つあります。1つ目は、自分のモチベーションが上がるポイント、下がるポイントを知っておくこと。素直な気持ちに向き合えるように、上がったり下がったりしたとき、理由を持っておけるようにしています。2つ目は、今を大切に、目の前の仕事から取り組むこと。自分が頼まれた仕事は自分だから頼まれた仕事なんだって思うようにします。誰でもできると思うことは、意図的にモチベーションを下げてしまうからです。

3つ目は「自分らしくいられる相手を見つけておくこと」だと言います。気持ちの浮き沈みを意識する江澤さんは、先輩や上司など、第三者にアドバイスをもらうときも自分が掛けてほしい言葉を言ってくれそうな相手に相談するそうです。加えて——。

自分をさらけ出しても、ちゃんと受け止めてくれる人をつくっておくことが大事です。私がやりたいと思っているのか、そうじゃないのか、聞き取ってくれる相手は社内にいなくても大丈夫。私の場合は親友に話します。そして、4つ目に大切なのは、力を抜くときにちゃんと抜くことなんですよ。

私基準の豊かさでいい

対仲間に対して大切にしている心がけや、参加希望者が応募時に寄せてくれた質問に答えた後は、参加者との質疑応答タイムに移りました。

Q.なぜ店長をやりたかったんですか?

社員になったきっかけが、旅先でゲストハウスの夫妻を見て、うらやましいと思ったからなんです。店長になったら、採用、売上、費用を見て、利益を生むという全部の仕事に関わることができます。それにやりがいを感じました。いろんなことが一気に学べる職種だと思ったんです。

Q.興味のない職種に着いた場合、どうやって乗り越えますか?

何かしら興味を持てるポイントを探します。店舗を離れるとき、目の前のお客様に『ありがとう』と言ってもらえるやりがいを無くしてしまって、他のやりがいを見出せなかったんですが、『この人が扱う商品だから買う』と思ってもらえるくらいファンになってもらう、といったやりがいへの糸口を見つけるようにしました。

たとえ、苦手な人を前にしても、『嫌』と伝えてしまったら私自身が自分の仕事をしにくくしてしまうことになるから、そこはぐっと腹をくくって、仕事しやすいように最大限振る舞うことは優先しています。

Q.転職を考えていますが、転職先で自分が何をできるのかよくわかりません。

面接をたくさんしてきて、何を見るようになったかと言うと、どんなに小さなことでも、入社希望者が会社に来たらどんなふうに会社が良くなるか、ということです。『私は、この会社のここがもったいないと思う』『こう変わったらよくなるんじゃないか』という目線を持っている人を見たら、面接する人たちはワクワクすると思いますよ。

最後に、CLASS ROOM恒例の質問にも答えてもらいました。江澤さんにとっての良い暮らしとは?

誰かと比較しない。私が思う豊かさが生活の中にある暮らしです。私は生きる上で楽しくいたいから、笑顔になれて、周りも笑顔でいられる時間を当たり前に過ごせていたら、豊かな気持ちでいられます。

>>交流会の様子はこちら

江澤身和(株式会社スープストックトーキョー 取締役副社長)

株式会社スープストックトーキョー取締役副社長 兼 店舗営業部長。2005年、パートナーとして入社。社員登用ののち複数店舗の店長を経て、法人営業グループへ異動し、冷凍スープの専門店の業態立上げと17店舗の新店立上げをする。2016年2月、株式会社スープストックトーキョーの分社に際し、取締役兼人材開発部部長に着任。 “人を大切にする”を基軸とした14の人事制度を展開。2018年、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2018」 チェンジメーカー賞を受賞する。2019年4月より、取締役副社長と店舗営業部部長として、ブランドを牽引する。

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