私が追いかけたい暮らしのこと
「2016年 私が追いかけたい暮らしのこと」を語る新年特別講座の後編は、3人がそれぞれ挙げたキーワードを横断するクロストーク。それぞれの個性が際立つキーワードですが、実はどこか共通点があって……。3人のオーダーに応えたオリジナルサンドイッチが登場する交流会の様子と合わせてどうぞ。
2016年は「プリミティブ」が求められる?
芝崎さんが「整えたい」「サードウェーブコーヒーの次とその次」「プリミティブなこと」、野村さんが「銭湯」「手芸」「俳句と詩」、青柳さんが「細やかに感じること」「しがみつきたい」「自由なのに」。それぞれがキーワードについて語ったあと、クロストークは「私たちの話は、結局、『プリミティブ』ということに集約されるのかな」という、青柳さんの一言からはじまりました。
(キーワードの中には)ハイテクなものがどこにも入っていないなと思いました。今の世の中は、プリミティブな感覚がないと、バランスがとれなくなってきている。こういうキーワードが出てくるのは、ある意味必然なんでしょう。(芝崎)
私もグーグルマップとかめっちゃ使いますし、テクノロジーがいらないっていうわけじゃないんですよね。ただ、そればかりになっているから、ローテクなものが不足している、求めているっていうことはありますね。(野村)
自分がまるで機械みたいになっちゃってるなと思うことがよくあるんです。答えを先に知っている時代というか、過程を体感していないなって。だからこそ人間らしくありたいし、動物的でありたいと思います。(青柳)
トークはさらに、「プリミティブ」を求める流れは加速していくのか? という話題に。キーワードを出した芝崎さんの答えは「流行させようという作為が見えると拒否される」というもの。
サードウェーブのようなトレンド感のある言葉を使われると抵抗があるけど「誠実な売り方」なら納得できるとか、そういうことかなって。『&Premium』では、次は「誠実」というキーワードの特集を進めているんです。本当にいいものでないと売れないし、いいものをつくりたい人というが増えている。そもそも彼らは、自分たちはサードウェーブという言葉でくくられたくないと思っているのでしょうけれど。(芝崎)
サードウェーブって、スタイルじゃなく、考え方のことですからね。私が話した手芸のウェブサイト「Wool and The Gang」も、誰がつくっているのかが見えて、どこでつくられているのかもわかる。そういう「考え方」はこれからも続いていくのかなって思います。(野村)
私、この間モロッコに行って、ノマドの人たちの暮らしを見てきたんです。丁寧に暮らすってこういうことだなって思いました。超原始的だけど、頑張ればこういう暮らしもきっとできる。何もかも捨ててこういう暮らしをしてみるのもいい、そんな2016年でいいですかね、みなさん?(笑)(青柳)
それぞれにとっての「いい暮らし」とは
最後は、CLASS ROOM定番の「いい暮らしとは?」という質問で、クロストークを締めくくりました。
「ときめきがある暮らし」ですね。暮らしって、大事に育てていくものだと思うから。(野村)
寝るときに今日も幸せに生きたなって思えるのが、自分にとってハッピーな暮らしです。今日もなんとかそう思えそうです(笑)。(青柳)
『&Premium』は、「読むと機嫌がよくなる」雑誌を目指しているんです。「ベターライフ」って、ただ快適なだけとはちょっと違うんですよね。もうちょっと“生きている感”があるほうがいい。プリミティブっていうのも、そういうことなのかもしれませんね。(芝崎)
芝崎信明(&Premium編集長)
株式会社マガジンハウスが発行する雑誌『&Premium』編集長。『ポパイ』編集部、『ブルータス』編集部の副編集長を経て、2013年11月、編集長として上質なライフスタイルを提案する『&Premium』を創刊。2015年11月、andpremium.jpをスタートさせる。
野村由芽(CINRA.NET)
株式会社CINRAのエディター。広告会社に勤務後、音楽、アート、デザイン、映画、演劇情報などを伝えるウェブマガジン「CINRA.NET」編集部へ。主にカルチャーにまつわる記事の編集を担当しているほか、シティガイド「HereNow」では東京版のキュレーターとして、街のスポット紹介を行っている。
青柳文子(モデル・女優)
1987年生まれ。モデル、女優、企業商品プロデュースや執筆業など様々な分野で多彩な才能を発揮。2015年には、カルチャーマガジン『あお』(ムック本)を監修し、創刊。2016年1月9日より出演映画『知らない、ふたり』が新宿武蔵野館ほか全国順次公開。