SUSTAINABLE
再生コルクとともに美しく暮らす。「TOKYO CORK PROJECT」の新提案
2021.12.14
普段は捨てられてしまうことが多いワインのコルク栓を、飲食店などから回収して再資源化し、インテリアやおもちゃ、ペット用品など、新たな商品へと生まれ変わらせる「TOKYO CORK PROJECT(東京コルクプロジェクト)」。誕生したアイテムはどれもが環境に優しいうえに使い勝手がよく、なによりお洒落なのが魅力! プロジェクトを手がける北村真吾さんに、再生コルクの持つ可能性について伺いました。
使用済みのコルクが、美しいインテリアに変身
新宿の複合商業施設・ニュウマン新宿の館内を歩いていると、エスカレーター脇やエレベーターの前などに休憩用の椅子やベンチが用意されているのが目に留まる。ショッピングの合間に腰かけたことがある人もいるかもしれない。実はこれらの備品は、再生コルクでつくられたもの。座り心地や手触りがよく、ルックスもスタイリッシュで、私たちが普段飲んでいるワインのコルク栓がこんなふうに生まれ変わるなんて!と驚かされる。
手がけているのは、「TOKYO CORK PROJECT」。レストランなどから回収した使用済みのコルク栓を粉砕、圧縮して、再生コルクを製造。建築資材として販売するほか、スツールやおもちゃ、ペット用の食器やクッションなど、オリジナルのアイテムやコラボ製品も展開している。
手がけているのは、「TOKYO CORK PROJECT」。レストランなどから回収した使用済みのコルク栓を粉砕、圧縮して、再生コルクを製造。建築資材として販売するほか、スツールやおもちゃ、ペット用の食器やクッションなど、オリジナルのアイテムやコラボ製品も展開している。
館内で400円以上買い物をした人が利用可能な、ニュウマン新宿M2階のワークスペース。椅子やテーブルの一部に再生コルクを使用。椅子のデザインはスパークリングワインのボトルのコルク栓とワイヤーをイメージ
リサイクルという、新たな生産のかたち
代表の北村真吾さんがプロジェクトを立ち上げたきっかけは、かつて外食産業で働いていたころに、コルク栓の廃棄量の多さに疑問を感じたから。
「子どものころから動物が好きで、テレビや本などを通して環境破壊が世界中の野生動物に与える深刻な影響を見るたびに、どうにかしなくては、と思っていました。トレードオフ、つまり何かを達成するために何かが犠牲になる状態を減らしていけないか、と考えていたときに、たまたま目に留まったのがコルク栓だったんです」
コルクの原料となるコルク樫は地中海沿岸の気候を好む性質があり、日本では育てることが難しく、輸入に頼っている。使用済みのコルク栓を日本国内でリサイクルし、新たな資源として“生産”できれば、それ自体が地球上の限りある資源の有効活用につながるのはもちろんのこと、輸送の際に発生するCO2が与える環境負荷を少しでも減らすことができるというメリットもある。
「当時は立ち飲みワインバーが増えてきたころ。外食産業の仲間たちが協力し合えば、新しいムーブメントを起こせるのではないか。そんな思いから、2010年にプロジェクトを立ち上げ、ワインのコルク栓の再生事業をスタートさせました」
「子どものころから動物が好きで、テレビや本などを通して環境破壊が世界中の野生動物に与える深刻な影響を見るたびに、どうにかしなくては、と思っていました。トレードオフ、つまり何かを達成するために何かが犠牲になる状態を減らしていけないか、と考えていたときに、たまたま目に留まったのがコルク栓だったんです」
コルクの原料となるコルク樫は地中海沿岸の気候を好む性質があり、日本では育てることが難しく、輸入に頼っている。使用済みのコルク栓を日本国内でリサイクルし、新たな資源として“生産”できれば、それ自体が地球上の限りある資源の有効活用につながるのはもちろんのこと、輸送の際に発生するCO2が与える環境負荷を少しでも減らすことができるというメリットもある。
「当時は立ち飲みワインバーが増えてきたころ。外食産業の仲間たちが協力し合えば、新しいムーブメントを起こせるのではないか。そんな思いから、2010年にプロジェクトを立ち上げ、ワインのコルク栓の再生事業をスタートさせました」
「TOKYO CORK PROJECT」を企画・運営する株式会社GOOD DEAL COMPANY代表取締役の北村真吾さん。不動産業、外食産業を経て、2010年に同プロジェクトをスタート
再生コルクという素材の驚くべき魅力
「コルクは実は建築資材として、とても優れた特徴が多いんです」と北村さん。断熱性、遮音性、耐水性があり、燃えにくく、軽量で弾力があるので安全で、抗菌性も高い。例えば、多角形の積み木「tumi-isi(ツミイシ)」シリーズは、まさにそれらの特徴を存分に生かした製品のひとつ。もともと奈良のデザイン会社「エーヨン」が考案したアイテムで、「TOKYO CORK PROJECT」とのコラボレーションにより再生コルクを使用。大人はもちろん子どもでも積み上げやすく、小さな子どもも安心して遊べるし、おもちゃとしてだけでなく、オブジェとして飾っても美しい。
再生コルクを新しい資源としてどのように使い、どんな製品を生み出すことができるか。当初は建築・インテリア業界向けに使い方を提案する意味も込めて、こうしたオリジナルのアイテムを開発していたけれど、最近では再生コルクという素材そのものへの注目度が増し、建築資材としての人気が高まっているのだとか。
「木の温もりを生かした建築物の人気が復活するなど、天然素材が見直されている今、コルクが脚光を浴びるのは必然といえるかもしれません。再生コルクが今後は生活に身近なリサイクル資源として、新しい豊かさの価値を投げかける存在になればいいなと思っています」
再生コルクを新しい資源としてどのように使い、どんな製品を生み出すことができるか。当初は建築・インテリア業界向けに使い方を提案する意味も込めて、こうしたオリジナルのアイテムを開発していたけれど、最近では再生コルクという素材そのものへの注目度が増し、建築資材としての人気が高まっているのだとか。
「木の温もりを生かした建築物の人気が復活するなど、天然素材が見直されている今、コルクが脚光を浴びるのは必然といえるかもしれません。再生コルクが今後は生活に身近なリサイクル資源として、新しい豊かさの価値を投げかける存在になればいいなと思っています」
ニュウマン新宿4階のレストスペースには、コルク栓をあしらった一点モノの照明も
ニュウマン新宿にはコルク栓の回収ボックスも
ところで、コロナ禍になってから、家飲みの機会が増えた人も多いはず。ワイン好きのあなたは、家でワインを開けたあとに残ったコルク栓を「TOKYO CORK PROJECT」に提供してみては? ニュウマン新宿では16年に開業して間もないころからずっと、2階のインフォメーションコーナーの脇に、コルク栓の回収ボックスを設置している。これも実は、「TOKYO CORK PROJECT」の一環。自宅から持参したコルク栓を回収ボックスにポンと入れれば、やがて立派な再生コルクとして甦るのだ。
「自宅でよくワインを飲まれる方で、このボックスの存在をご存じの方は、わざわざ入れに来てくださるようです。袋にたくさんためて、隣のインフォメーションコーナーに預ける方もいると聞いています」
私たちの身のまわりにあるものがどんな原料でできていて、それは、捨てたあとはどうなるのか。ちょっと想像してみるだけで、おのずと私たち一人ひとりの行動は変わるかもしれない。「TOKYO CORK PROJECT」の活動は、そんな新たな可能性に気づかせてくれる。
「自宅でよくワインを飲まれる方で、このボックスの存在をご存じの方は、わざわざ入れに来てくださるようです。袋にたくさんためて、隣のインフォメーションコーナーに預ける方もいると聞いています」
私たちの身のまわりにあるものがどんな原料でできていて、それは、捨てたあとはどうなるのか。ちょっと想像してみるだけで、おのずと私たち一人ひとりの行動は変わるかもしれない。「TOKYO CORK PROJECT」の活動は、そんな新たな可能性に気づかせてくれる。
ニュウマン新宿の2階のインフォメーションコーナーの右隣にある、コルク栓回収ボックス
■TOKYO CORK PROJECT
https://tokyocorkproject.jp/
※本記事は2021年12月14日に『telling,』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura Photograph: Ittetsu Matsuoka Edit: Sayuri Kobayashi
https://tokyocorkproject.jp/
※本記事は2021年12月14日に『telling,』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura Photograph: Ittetsu Matsuoka Edit: Sayuri Kobayashi