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先人たちの知恵と暮らしを習う、組み木のシーズンディスプレイ

2022.05.16

ルミネの5月9日(月)〜のシーズンディスプレイは、「Learn from Ancient Times(先人の知恵に学ぼう)」がテーマ。利便性が求められ、時代の移り変わりが激しい今だからこそ、自然と共生してきた先人たちの暮らしや伝統に、私たちが豊かに暮らすヒントやアイデアがあるのではないでしょうか。

現在ルミネ新宿では、そうした現代の暮らしの豊かさへもつながるアイデアが詰め込まれた、日本伝統の建築技術・組み木を使ったシーズンディスプレイを5月25日(水)まで、東南口で見ることができます。

今回は、制作を手がける岐阜県・飛騨古川の「Hidakuma」の拠点・FabCafe Hidaの工房を訪れ、シーズンディスプレイに込めた想いや、自然と共存する大切さを聞きました。

情報が溢れる今だからこそ、先人たちの暮らしがヒントに

ルミネ新宿で、5月25日(水)まで楽しめる東南口のシーズンディスプレイ。岐阜県・飛騨古川で地域に広がる「広葉樹の森」の活用・循環・価値創造に取り組む「Hidakuma」をパートナーに迎え、日本の伝統的な木造建築の技術・組み木を使った展示を行っています。

5月9日(月)〜6月15日(水)のルミネのテーマは、「Learn from Ancient Times(先人の知恵に学ぼう)」。情報が溢れ、多様化する時代だからこそ、自然とともに暮らす先人たちの生活にヒントがあると考え、奈良時代から受け継がれている組み木にフォーカス。切り込みを入れた木材同士をつなぎ合わせる組み木は、古い木と新しい木を組み合わせ、木が朽ちた場合もその一部分を切り落として新しい木材で補います。機能面だけでなく、世代を超えた木工技術の継承の役割も担う組み木は、文化的にもサステナブルな側面を持ち合わせます。

そして今回のシーズンディスプレイは、制作の過程を想起できるような組み木の断面が楽しめるのも特徴のひとつ。こうした日本特有の組み木をシーズンディスプレイに用いることで、自然や人と人との関わりのなかで受け継がれてきた技術を感じてもらい、自分たちのルーツに想いを馳せ、これからの自然と人との関係を考えるとなるきっかけになれたらという想いが込められています。

ルミネ新宿 ルミネ2の東南口ウィンドウでの組み木の実物展示。

自然から預かった木材の可能性を信じて

2022年4月某日、岐阜県・飛騨古川の「Hidakuma」の工房にお邪魔すると、今回のシーズンディスプレイを担当するクリエイティブディレクターの黒田晃佑さんと、木工職人の田中清雄さんが出迎えてくれました。

木を削り、組み木の接合部分の“継手(つぎて)”を制作する田中さんは、手を動かしながらこんな話をしてくれました。

「私が若い頃、大工はみんな組み木や継手を作ることができたんです。仕事の休憩時間に、大工仲間で誰が一番早く美しく作れるかを競ったりして。技術さえ習得したら、そんなに難しい作業でもないんですよ」

組み木や継手を作れる職人が減少する昨今。田中さんがこの伝統や文化に向き合い続けるのは、木が持つ可能性を信じているからだそう。

「技術を継承したいとか、そんな大それたことではないんです。建築技術は格段に進化したので、今は手間暇のかかる組み木や継手の技術を使わなくても、早くて簡単に安く建物を作れるようになりました。組み木や継手を使わずに済むから、それができる職人が減ってしまう。それは仕方ないこと。そんな中で私が組み木や継手を作り続けるのは、1人くらいそんなめんどうな技術を使う人がいた方がいいと思うから。

木は膨張したり、縮んだりもするので、組み木や継手で木をうまく組み合わせると強度が高まって、釘や接着剤を使うよりも手間暇はかかりますが長持ちします。世の中はどんどん合理化が進みますが、自然から授かった木は長く大切に使っていきたいですね」

人間の都合でなく、素材の美しさを追求する

今回のシーズンディスプレイを制作するにあたり、職人の田中さんの存在が欠かせなかったと黒田さん。

「今回のシーズンディスプレイで組み木を目にしてくださる方は、どこで誰が作ったかまでは気にされないかもしれません。ですが僕は、やはりものには人の気持ちが宿ると思うんです。だから、端材でコースターを作ったりと余すことなく木を使い、森や木を誰よりも大切にされている田中さんにぜひお願いしたかったんです」

材料である木を大切に扱う田中さんの想いを汲み、今回のシーズンディスプレイでは、素材そのものの美が追求されています。

「塗装はしていますが、素地が見える状態で色付けをしています。そのままの姿を表現するのは、決して逃げているわけではなくて、木の特性がそうだから当然の原理。無理やり人が思い描いた形にするのではなくて、木の特性が生かされた姿こそ美しいと思うんです」

小さな疑問と気づきが、豊かな暮らしにつながっていく

多くの人が行き交う新宿の街に現れる、組み木のシーズンディスプレイ。目にした人に少しでも「誰が作ったんだろう」と思ってもらうことで、自然と共に生きた先人たちの暮らしや、自分たちの原点へのリスペクトにつながると黒田さんは話します。

「そういう些細な疑問は巡りめぐって、自分の身近なものへの疑問に変わると思います。例えば、都市にいながらも『この木は誰が植えたんだろう?』と、植えた人のことを考えたり。さらに思いを巡らせると、森で木を切った人、それをここまで運んだ人と、この場所へとつないでくれた人は必ずいることがわかるんですよね。まずはそういう小さなことに気づいていただくことで、これまで先人たちが育んできた文化や伝統が今の自分につながっていることを感じてもらえると信じています」

自然と共に暮らした先人たちの知恵が詰め込まれた、組み木を使ったシーズンディスプレイ。木の美しさや奥深さを、そして自然と共存する喜びを感じてみませんか。

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飛騨の森でクマは踊る
飛騨の森でクマは踊る(通称ヒダクマ)は、岐阜県飛騨市を拠点に、地域に広がる「広葉樹の森」の活用・循環・価値創造に取り組む会社。
木工職人、建築家・デザイナーなど地域内外のパートナーとともに、ユニークなアイデアで、プロダクトから建築空間まで幅広い設計製作のプロジェクトを実践。また、宿泊可能なものづくりカフェ「FabCafe Hida」を運営し、森の恵みを楽しむイベントや、森の循環に触れるツアープログラムを提供している。

ヒダクマWeb: hidakuma.com

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期間/2022年5月9日(月)~6月15日(水)予定
※ルミネ新宿(ルミネ2甲州ウィンドウを除く)・ルミネエスト新宿は、2022年5月9日(月)~5月25日(水)
※組み木の実物展示は、ルミネ新宿・ルミネ2東南口ウィンドウのみとなります
ウィンドウテーマ/Learn from Ancient Times(先人の知恵に学ぼう)
実施館/ルミネ新宿、ルミネエスト新宿、ルミネ有楽町、ルミネ北千住、ルミネ池袋、ルミネ町田、ルミネ荻窪、ルミネ大宮、ルミネ横浜

プロジェクト統括・デザイン:POOL inc.
製作ディレクション:飛騨の森でクマは踊る
製作:田中建築、日下塗装

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