FASHION
気持ちを解放して新しい自分を愛したくなる、これからのナルシズム
2023.05.08
目の前のモヤが少しずつ晴れていき、いよいよ久しぶりの解放感とともに迎える夏がやってきます。新たな季節へと向かう女性たちにエールを送る、ニュウマン2023年夏のシーズンビジュアルができました。女優・菊地凛子さんの表情に惹きつけられる今回のビジュアルテーマは「Explore the Next “次”への扉を開くとき」。ビジュアルとムービーを手掛けたSIMONEのクリエイティブディレクター 渡辺琢磨さんに、制作に込めた想いや撮影のエピソードを聞きました。
共感の先にある“次”へのインスピレーション
気候変動、コロナ禍、戦争、自然災害などさまざまな社会の出来事に触れ、多くの人が自分自身との対話を繰り返し過ごしてきたいくつもの季節。それは改めて「わたし」という存在を見つめ、より大きな一歩を踏み出すための準備期間でした。そんな時間を経た2023年春夏の大きなテーマである「Explore the Next “次”への扉を開くとき」を、渡辺さんはどのように解釈してビジュアルに落とし込んだのでしょうか。
「世の中はもはや不安定な状況が当たり前のようになってしまっていますが、同時にその中でも前進を続け、小さくても希望を見出していきたいというポジティブなムードも感じられます。今回のテーマはこの時代性をとてもよく捉えたテーマだと思いました。それをニュウマンというブランドのメッセージとして打ち出すのであれば、ただ共感を生み出すのではなく、お客さまが“次”へのインスピレーションを得られるものとして届けたい。そのためには、このテーマをどう解くかがカギになると考え焦点を絞っていきました」
「世の中はもはや不安定な状況が当たり前のようになってしまっていますが、同時にその中でも前進を続け、小さくても希望を見出していきたいというポジティブなムードも感じられます。今回のテーマはこの時代性をとてもよく捉えたテーマだと思いました。それをニュウマンというブランドのメッセージとして打ち出すのであれば、ただ共感を生み出すのではなく、お客さまが“次”へのインスピレーションを得られるものとして届けたい。そのためには、このテーマをどう解くかがカギになると考え焦点を絞っていきました」
都内のスタジオで行われたビジュアル撮影の風景
自分と向き合い新たな自分を肯定する自己愛
ゆったりとしなやかに横たわる菊地凛子さんに添えられた「ニュウ、ナルシズム」の大きなコピー。こちら側を射抜くような視線に吸い込まれそうになる、インパクトのあるビジュアルです。
「春の広告の“エスケープ”や今回の“ナルシズム”など、これまでなんとなくネガティブな印象として扱われてきた言葉を、ポジティブに変換して新しく定義づけしようという方向性がまずありました。そしてコロナ禍前のようにみんなで集まってご飯を食べたり旅行に行ったりと、今まで押さえつけられていたものが解放されてやっと動き出してきたという時期でもあります。そこにはこれまでやっていたことをまたできるようになったという、少し戻るような感覚もありますし、同時に、全く同じように元に戻るわけではなくて、この期間に手に入れた新たな視点もある。そんな複雑な状況だからこそ、自分自身がどうありたいかということがより重要になるのかなと思いました」
情報に溢れ選択肢が無限に広がるこの世界の中で、前を向いて新しい扉を開くのは「こうありたい」という自分自身。それは、これまで捉えられてきた自己中心的な概念ではなく、社会の変化とともに手に入れた新しい理性と、ありのままの自分でいたいという変わらない本能を抱いた、今のリアルな自分の姿です。そんな風に自分自身に真摯に向き合い新しい自分を肯定する「自己愛」を、渡辺さんはこれからのナルシズムの定義として掲げました。
「春の広告の“エスケープ”や今回の“ナルシズム”など、これまでなんとなくネガティブな印象として扱われてきた言葉を、ポジティブに変換して新しく定義づけしようという方向性がまずありました。そしてコロナ禍前のようにみんなで集まってご飯を食べたり旅行に行ったりと、今まで押さえつけられていたものが解放されてやっと動き出してきたという時期でもあります。そこにはこれまでやっていたことをまたできるようになったという、少し戻るような感覚もありますし、同時に、全く同じように元に戻るわけではなくて、この期間に手に入れた新たな視点もある。そんな複雑な状況だからこそ、自分自身がどうありたいかということがより重要になるのかなと思いました」
情報に溢れ選択肢が無限に広がるこの世界の中で、前を向いて新しい扉を開くのは「こうありたい」という自分自身。それは、これまで捉えられてきた自己中心的な概念ではなく、社会の変化とともに手に入れた新しい理性と、ありのままの自分でいたいという変わらない本能を抱いた、今のリアルな自分の姿です。そんな風に自分自身に真摯に向き合い新しい自分を肯定する「自己愛」を、渡辺さんはこれからのナルシズムの定義として掲げました。
「ビジュアルには自分をちゃんと愛したい、表現して発散したい、自分を気持ちよくしたい。そういう気持ちを解放してあげようよ、というメッセージを込めています。今シーズンのファッションにも、解放感を感じるものが多くあり、精神的にも物理的にも抑えられていたものを解放していこうという傾向が見られました。今回のビジュアルでは、本能的なセクシーで艶かしい“ナルシズム”に、凜子さんの持つリアルさやチャーミングな部分、そして日常感をプラスし、さらにコピーライティングを添えることで、かつてのナルシズムとは違う、新たな価値観を表現しています」
一見、完璧につくり込まれた美や従来のナルシズム的ビジュアルですが、よく見るととても等身大でリアルな生を感じる菊地さんの表情やコピーが強く心に残ります。画面の隅々まで細かくコントロールした撮影でのエピソードを、渡辺さんはこんな風に教えてくれました。
「昔ながらのナルシズムだけのビジュアルでは意味がないし、単純にかわいい印象になってしまうと意図から外れてしまう。その中間のベストなバランスをとるために細心の注意を払い、撮影では顔の角度や表情などディテールに特にこだわりました。そして凛子さんの演技力はもちろん、クリエイティブに対するスタンスが本当にエネルギッシュでポジティブで、こちらの期待をはるかに上回るようなポーズや表情を見せてくださいましたし、想像以上のものでフィニッシュすることができました」
一見、完璧につくり込まれた美や従来のナルシズム的ビジュアルですが、よく見るととても等身大でリアルな生を感じる菊地さんの表情やコピーが強く心に残ります。画面の隅々まで細かくコントロールした撮影でのエピソードを、渡辺さんはこんな風に教えてくれました。
「昔ながらのナルシズムだけのビジュアルでは意味がないし、単純にかわいい印象になってしまうと意図から外れてしまう。その中間のベストなバランスをとるために細心の注意を払い、撮影では顔の角度や表情などディテールに特にこだわりました。そして凛子さんの演技力はもちろん、クリエイティブに対するスタンスが本当にエネルギッシュでポジティブで、こちらの期待をはるかに上回るようなポーズや表情を見せてくださいましたし、想像以上のものでフィニッシュすることができました」
完璧な美の中にあるリアルな日常感
自信と余裕を湛えた大人の女性の表情の中に見え隠れする、チャーミングな笑顔や日常感のある心の声。今回のシーズンビジュアルは、菊地さんの砕けたセリフでそのギャップの魅力がさらに引き出されたムービーも見どころです。静止画のビジュアルとムービーをぜひ見比べて楽しんでみてください。ドキッとしながらも思わず笑みがこぼれ、一見完璧に見える大人の女性像に親近感すら抱くことができるかもしれません。
「今回のビジュアルに込めたメッセージを受け取った方に、たとえば、何年か前にこういう気持ちがあったなとか、こういう風に発散するのもよかったんだなとか、そういう気持ちを思い出してもらえたら嬉しいです。そして、夏はちょっと冒険してみようなど、一歩を踏み出す自信につながったらいいなと思います」
「今回のビジュアルに込めたメッセージを受け取った方に、たとえば、何年か前にこういう気持ちがあったなとか、こういう風に発散するのもよかったんだなとか、そういう気持ちを思い出してもらえたら嬉しいです。そして、夏はちょっと冒険してみようなど、一歩を踏み出す自信につながったらいいなと思います」
---------------
Creative Director:Takuma Watanabe(SIMONE INC.)
Movie Director:Takayuki Haga(SIMONE INC.)
Art Director:Mayuko Ishida(SIMONE INC.)
Producer:Fumika Ochi(SIMONE INC.)
Production Manager:Marin Kanda(SIMONE INC.)
Actress:Rinko Kikuchi
Photographer/DOP:Yusuke Miyazaki(SEPT)
DIT:Akio Fujita
Stylist:Ayaka Endo
Hair:Yusuke Morioka(eightpeace)
Make:Asami Taguchi(HOME AGENCY)
Set Design:Yuichi Ishida(R.MOND INC.)
Creative Director:Takuma Watanabe(SIMONE INC.)
Movie Director:Takayuki Haga(SIMONE INC.)
Art Director:Mayuko Ishida(SIMONE INC.)
Producer:Fumika Ochi(SIMONE INC.)
Production Manager:Marin Kanda(SIMONE INC.)
Actress:Rinko Kikuchi
Photographer/DOP:Yusuke Miyazaki(SEPT)
DIT:Akio Fujita
Stylist:Ayaka Endo
Hair:Yusuke Morioka(eightpeace)
Make:Asami Taguchi(HOME AGENCY)
Set Design:Yuichi Ishida(R.MOND INC.)