LUMINE MAGAZINE

SCROLL

FASHION

WINDOW DISPLAY

自然に包まれありのままの自分を解放したくなるシーズンディスプレイ

2023.05.15

ルミネの5月8日(月)〜のシーズンディスプレイは、「Green Retreat(自然と溶け合うわたし)」がテーマです。いつの間にかゴールを見失っていたり、周りに流されてしまいそうになる、情報にあふれたこの世界。ふと気付いたら、たくさんのものを抱えてしまっているかもしれません。時には都会の喧騒から離れて自然に身を置き、身軽になって自分を解放してみたいもの。植物の生命力や土の匂いに包まれて自分を解き放ち、“ありのままのわたし”を思い出してみたくなる。そんな自然のエネルギーに満ちたシーズンディスプレイを、ルミネ各店で6月14日(水)まで展開中です。

アートディレクションを担当したのは、ウィンドウディスプレイやポップアップストアなど数多くのディレクションを手がける株式会社mado代表の田丸靖史さん。制作のコンセプトやそこに込めた思いについて聞きました。

森と一体化して自分の奥へと足を踏み入れる

「Green Retreat(自然と溶け合うわたし)」という今回のテーマを、田丸さんはどのように解釈したのでしょうか。

「日々の生活の中で見失っているものを思い出し、ありのままの自分を大切にしようというのが、今回の大きなメッセージになると思いました。本来の自分をポジティブに捉えるというところをベースに、“自然”が自分を取り戻すトリガーになるものと捉え制作を進めていきました」

自分と向き合い内なる声を聞けるような、自然に包まれた環境。田丸さんが最初にイメージしたのは、「じめじめとした湿気のある深い森」でした。それは、外に広がっていくオープンなリフレッシュではなく、植物が鬱蒼と繁る森やジャングルなど、どちらかというと内省的で野性味のある自然のイメージです。

「生命力があり静かなパワーを秘めた森の奥のような、抽象的な世界観をまず抱きました。森の奥に行けば行くほど外の世界が遮断され、同時に自分の内面にどんどん踏み込んでいくイメージです。それを表現に落とし込むとしたら、具体的に森のシチュエーションを説明するのではなく、場のエネルギーや生命力が伝わってくるような抽象的な空間にしたいと思いました」

その言葉の通り、黒い背景と植物のモチーフが、どこまでも続くような森の奥行きを感じさせるウィンドウ。そこにエネルギーに溢れたビビッドなカラーが勢いよく飛び散り重なっています。この森の表現こそが、今回のメッセージにつながる自分自身の解放でした。
「頭の中を空っぽにして絵の具を撒いたり広げたりして、そこで偶然できた模様や表現が、結果的に森のエネルギーや生命力そのものを表しています。デザインも複雑に構築するのではなく偶然性を活かして解放的に考え、あえてこういう手法で抽象的な森を描いていきました」

自分自身に集中できる時間こそリトリート

絵の具を使ったペインティングも自身で担当し、テーマと同様に実際に自分を解放しながら制作を行ったという田丸さん。新宿の一部のウィンドウでは、田丸さんがペインティングした実物のパネルが展示され、よりリアルで生のエネルギーが込められたディスプレイを見ることができます。
「他のウィンドウでは、ペイントしたものをスキャンし印刷したパネルを使用しています。どれも元は実際にペイントしたものですが、実物のパネルを飾ったウィンドウでは、より生っぽさや勢いを感じてもらえればと思います」

今回のウィンドウで森のモチーフとして使われているモンステラは、観葉植物としてお店や生活の中で出会う機会の多い植物です。本当にどこか遠くの森に出かけていくことは難しくても、日常の中にも本来の自分を取り戻すためのトリガーは、意外と身近にあるのかもしれないと思わせてくれます。

田丸さんにとって、日常から離れて自分と向き合う時間はどういうときなのでしょうか。
「何も考えない時間というのがすごく大事だと思っています。私の仕事柄、コンセプトを考えたりディレクションをしたりと、最初の段階は論理的に進める部分が多いんです。そこを過ぎて、単純にパースを描いたりグラフィックをつくったりという、黙々と手を動かす作業に移ると、子どもの頃にお絵かきをしていた感覚に近くなってくることがあります。何かに夢中になって、余計なことを一切考えなくなる瞬間。実際には日常から何も離れていないのですが、実はそれがすごく本来の自分に戻っているような時間なのかもしれないと思います」

ペインティングしたパネルは新宿店サラベス前のウィンドウで展開

今回のウィンドウでは、まさに田丸さん自身が時間を忘れてペインティングした色彩が、モンステラのパネルに表現されています。深い黒の背景に勢いよく解放された色彩が、視界に飛び込んできます。
「このペインティング自体はコンセプチュアルなアートの表現ではなく、絵の具と戯れた結果、感情やエネルギーが解放されたということを表していて、偶然の飛び散り具合や汚くなった部分も含めて、感情やエネルギーの解放であり、こうやって本来の自分をさらけ出す気持ちよさや楽しさが伝わるといいなと思っています」

いつの間にか蓋をしていた自分を解き放ちたくなるような、エネルギーに満ちたシーズンディスプレイ。ちょっと足を止めて瑞々しい自然を感じ、自分自身の奥深くへと入り込んでみませんか。
期間/2023年5月8日(月)~6月14日(水)予定
ウィンドウテーマ/Green Retreat(自然と溶け合うわたし)
実施館/ルミネ新宿、ルミネエスト新宿、ルミネ有楽町、ルミネ北千住、ルミネ池袋、ルミネ立川、ルミネ町田、ルミネ荻窪、ルミネ大宮、ルミネ横浜

<クレジット>
Art Direction & Design / mado 田丸靖史
 

TOP