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アートはお守りのような存在。気分にあわせて自由に選ぶ

2023.09.21

2023年11月4日・5日、ニュウマン新宿にあるルミネゼロでアートフェア「LUMINE ART FAIR –My 1_st Collection Vol.2–」が開催されます。特徴的なのは、暮らしにアートを取り入れるはじめの一歩となるよう、部屋に飾りやすい作品を多く取り扱うこと。そこで今回は、アートとともに毎日を過ごし、その様子をインスタグラムなどで発信しているSmithさんにお話を聞きました。はじめて購入したアートのこと、オリジナリティにあふれた部屋づくり。そこには、自由でまっすぐな「好きなもの」との暮らしがありました。

自分の好きなものを可視化して、感性を磨く

―Smithさんのお部屋はカラフルでいろいろなアイテムがありますが、すごくきれいにまとまっていますよね。インテリアのコンセプトや、統一感を出すためのポイントを教えてください。

インテリアは、大好きな花瓶とお花、そして色のある暮らしということをテーマにしています。様式や決まったスタイルにとらわれすぎず、自分の好きなものだけを集めた“ミックス感”がポイントでしょうか。なかでも、色どうしの相性や素材のリズム感を意識しています。

雑多な印象にならないよう目的別に空間をゾーニングするようにしていて、たとえば寝室は眠るときに心地よく感じるインテリアを揃えたり、ダイニングは存在感のある照明を吊るしてよりコーナー感を出したりしています。
それから、それぞれのゾーンごとにフォーカルポイントをつくることを意識していますね。フォーカルポイントとは、空間のなかで真っ先に目が行く場所のこと。パッと見たときに、そこに視線が流れるようにものを配置するというインテリアのテクニックです。我が家の寝室でいうと、壁に飾っている丸いミラーがフォーカルポイントになるよう、インテリアを組み立てています。

「寝室の壁は気分に合わせてしょっちゅう塗り替えています」とSmithさん。

―インテリアやアートに興味を持ったきっかけはありますか?

インテリアは小学生の頃から好きで、きっかけはたぶん、叔母の家がすごく素敵だったことです。ロフトがあったり、お風呂に天窓がついていたり、トイレは便器まで全部紺色だったり。そんなこだわりの空間が身近にあったので、影響を受けたのかなと思います。

その頃から部屋の模様替えは頻繁にしていました。時には『赤毛のアン』の世界観のようなカントリー調の部屋にしたり、時にはカラフルなビーズののれんをつけ、雑誌の切り抜きをたくさん壁に貼ってポップな部屋にしたりと、いまと同じように気分によって部屋の雰囲気を変えていました。


―部屋のテイストをがらりと変えることもあったのですね。インテリアを考えたり、ものを選んだりするうえで、自分のセンスに自信をもつためにできることはありますか?

自分が好きなものを可視化するといいかもしれません。わたしの場合は、日頃からインスタグラムやピンタレストで好きなインテリアや雑貨の写真をひたすら保存していて。そういうふうに、自分が好きなものを見えるようにするのが大事な気がするんです。ストックすることで、審美眼とまではいかないかもしれませんが、好みのものを見つける力のようなものも磨かれていくのではないでしょうか。

さりげなく置かれたトレイやアクセサリーも、一つひとつがユニークなデザイン。

1点ものの作品が自分のものになるよろこび

―お気に入りのアーティストについて教えてください。

いま部屋に飾っている作品に関しては、アーティストでは選んでいなくて。リビングにも寝室にも女性をモチーフにした絵を飾っています。部屋全体のテーマに合ったものを選びました。


―いまお部屋に飾っているアート作品のなかで、最初に購入したものはなんですか?

リビングのテレビの上の絵でしょうか。80年代のビンテージ品で、大阪のWANT ANTIQUE LIFE STOREという家具屋さんで購入しました。わたしはピンクとブルーが好きなので、まさにドンピシャな作品だったんです。やわらかいタッチでありながらも、サイケデリックな雰囲気もあり、いろいろなスタイルがミックスされているところが気に入りました。

リビングの絵画は、額縁にまでペイントが施されている珍しい1点。

―はじめてアートを購入したときどんな気分でしたか?

率直に、「わたしのもの!」と感じられてうれしかったです。作家が手でつくった、世界にふたつとない1点もののアート作品は、やっぱりすごく特別感があると思います。
一方で、部屋の模様替えが好きなので、気軽に入れ替えられるアートポスターも好きですね。そのときの気分にあわせて選ぶようにしています。


―アートというとハードルが高いイメージがありますが、気負いすぎずに取り入れていらっしゃるんですね。次に手に入れたい、気になっているアーティストはいますか?

日本人のアーティストでふたりいて、ひとりは中村桃子さん。いつも女性とお花をモチーフに絵を描いていらっしゃいます。韓国のアイドルのCDジャケットなども手がけていて、すごくかわいいんです。中村さんの小ぶりな作品を部屋に飾れたらいいなと思っています。

もうひとりは三澤亮介さんです。この方の作品も色づかいが特徴的。色を細かく重ねていって、ひとりの人物のシルエットを形づくるような作風です。三沢さんは大きい絵画作品がかっこいいので、今後もう少し広い部屋に引っ越せたら、玄関など目立つ場所にどーんと飾りたいですね。

Smithさんが「一番のお気に入り」と話すブルーの花瓶は、DIYで黄色いタイルを貼った洗面台にもぴったり。

ステイホームをきっかけに花瓶をコレクション

―花瓶のコレクションは100個を超えていると聞きました。なかでもお気に入りのものを教えてください。

一番のお気に入りはフィンランドのデザイナー、カイ・フランクによる1950年代の花瓶です。曲線と直線が融合したフォルムが北欧のデザインらしくて素敵。すごく薄いガラスでつくられていて、とても軽いんですよ。当たり前かもしれませんが、70年以上前につくられたものが現存していること自体に感動します。


―そもそも、なぜ花瓶を集めるようになったのですか?

お花にハマったきっかけは、ステイホームの時期に部屋に花を飾りたいなと考えたことでした。スーパーで300円くらいのブーケを買って飾ってみたら、けっこう良かったんですよね。ただ、もっと素敵に飾れる花瓶があるんじゃないかと思い探してみたら、こんなに種類あるんだと驚いて。それ以来、花瓶に夢中になりたくさん集めました。

わたしが持っている花瓶はほとんどがビンテージのもので、アートと同じように手に入れるよろこびが魅力のひとつだと感じています。まさに一期一会だからこそ、いいなと思ったら迷わず買ってしまうのかもしれません。


―きっかけは、おうちで過ごす時間を豊かなものにしたいという思いからだったんですね。

この部屋に引っ越してきたのは2020年5月なのですが、そのころのインテリアの趣味はいまとまったく違っていて、フレンチシックな感じでした。家具はアンティークで、フランス人形の腕や人体モチーフの雑貨を飾ったりと、おどろおどろしい雰囲気もあったんです。そんななかで引っ越してきたこの部屋は、コンクリートの壁で日当たりもよくなかったので、そういうインテリアだとちょっと違うかなと思って……(笑)。一度試してはみたのですが、やはりしっくりこなかったので家具をすべて買い替えました。

カラフルなインテリアにしたのも、日当たりがよくないことが理由です。ヒントにしたのは色づかいがポップで、明るくてかわいい北欧のインテリア。日照時間の短い北欧には、インテリアにこだわる人が多いんです。わたしの部屋も、日当たりが悪いけれどカラフルにすれば明るく見えるんじゃないかと思って、いまのようなスタイルになりました。


―アート作品もそのスタイルをつくる要素のひとつになっているんですね。アートを取り入れることは、暮らしをどんなふうに豊かにしてくれると思いますか?

難しいのですが、わたしにとってアートはお守りのような存在だと思っています。所有したり、眺めたりするだけで気分を高揚させてくれるもの。気分がいいときは、特に気に入っているリビングの絵に「かわいいねぇ」など話しかけることもあります。ものにはきっと、魂のようなものが宿っていると思うんです。だからこそ、好きなものを見極めて集め、一つひとつを大切にしていきたいですね。


PROFILE
Smith/インスタグラマー
ステイホーム中の引越しをきっかけに花を飾ることが趣味に。花瓶のコレクションは100を超える。「花と花瓶 色のある暮らし」をテーマに日々の暮らしを発信している。
https://www.instagram.com/shimihome/


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LUMINE ART FAIR -My 1_st Collection Vol.2-
生活に、気軽にアートを取り入れたい。そんな想いをかなえるLUMINE ART FAIRが4年ぶりに開催されます。会場に並ぶのは、いま注目されている国内外のアーティスト約30名の作品。自宅やオフィスなどに飾りやすいサイズや、手に取りやすい価格帯のものを多く取り揃えます。アートコンシェルジュが飾り方や保管方法などをアドバイスしてくれるので、はじめての方も安心。アートとともに暮らす、はじめの一歩を応援します。

開催日:
2023年11月4日(土)11:00~19:00
    11月5日(日)11:00~17:00
   ※11月3日(金・祝)18:00~20:00はご招待制のプレビュー

会場:
ルミネゼロ(ニュウマン新宿5F)

>> 特設サイトはこちら



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