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きょうは本屋に寄って帰ろう/Vol.15(選者:小谷実由さん)

2024.09.17

本を愛するあの人が、ルミネのシーズンテーマを切り口におすすめの本を紹介するこの企画。今回は「Just a little Sweet -ロマンティックを味方にして」をテーマとして、モデルの小谷実由さんにセレクトしてもらいました。
ちょっと現実離れした、ロマンティックな世界へのあこがれ。そのエネルギーを自信に変えれば、明日の自分をもっと笑顔にすることにつながるはず。より良い明日をつくるために、どこに目を向けるかは自分しだいです。

『ちいさな手のひら事典 バラ』著:ミシェル・ボーヴェ(グラフィック社)

花を飾ること。それは毎日些細な変化を探しながら香りやその美しさに想いを馳せる時間が訪れるもの。そして、花を通して自分の気持ちを紐解くような繊細な時間でもある。

1つの事柄にフォーカスし丁寧に説かれているページたち。胸をときめかせるふかふかでキラキラとした装丁は手に取るだけで心が踊る「ちいさな手のひら事典」シリーズ。芳醇な香りがページをめくるたびにふわりと香ってきそうな花の女王 バラを主役にしたこちらは、美しい挿絵たちと共に“バラの香り”から始まり、赤・白・黄のバラのそれぞれの持つ意味やストーリー、最後には“映画とバラ”などバラと交わる文化の話まで。これを1日1つずつ読み進めていけば頭の中にバラの知識が咲き誇り、指先からほんのりバラの香りがするかもしれない。そんなバラの香りを嗅いだときのようなうっとりとした想像が広がります。

『KISS xxxx 愛蔵版<楠本まきコレクション>』著:楠本まき(小学館クリエイティブ)

日常にはどこを探しても見つからないけれど、その本を開けば幼い頃から憧れていた世界が文字から絵から広がるのが漫画の素敵なところ。外の世界にそれらを求めて飛び出しても全く見つかりっこないのに、ページをめくって自分からその世界に入り込んでしまうと抜け出すことが難しくなりそうな危うささえも魅力的に映る。

耽美なビジュアルと、儚い存在感溢れるバンドマンのカノン、ちょっと天然少女のかめの。この2人の不思議な恋を取り巻くのは、またまた耽美で品格溢れる素敵なキャラクターたち。時に詩的で、時にほんわかする日常が描かれていて読んでるこちらは置いてかれているのか、それとも手を引っ張られ共に引き込まれているのか……大人になったらこうだろう、きっと私だっていつかはこうなるんだろう、そんないくら先を見つめても届くことがないのにずっと焦がれてしまう景色が広がっている。

『いつでも夢を』著:上田義彦(赤々舎)

憧れの塊であった。その一瞬一瞬に息を呑んで、それを眺めている間は時が止まったようにいつも思えた。知らないのに知っている、知りたいからずっと見つめ続けている。そこに目を向けていればいつか何かに気付けて、その憧れに少しでも触れることができるかもしれない。烏龍茶を手にすると、どうしてもその世界を探してしまう。

誰もが一度は目にしたことがあると思う、あの烏龍茶のCMたち。あの世界を手掛けたのは、写真家の上田義彦。数々の烏龍茶の広告写真はもちろん、彼が撮影で中国を訪れるたびに日々スナップしていた多くの写真たちで構成されたこの写真集は、見る者全ての心が郷愁にかられる。いつもは何も思わない天気や、空気の香り、日常の音や光。そんなものがいつしかかけがえのない思い出になることを教えてくれて、明日からの景色が全て特別なものに見えるかもしれない。

小谷実由
ファッション誌やカタログ・広告を中心に、モデル業や執筆業で活躍。一方で、さまざまな作家やクリエイターたちとの企画にも取り組む。猫と純喫茶をこよなく愛する。愛称はおみゆ。著書にエッセイ集『隙間時間』(ループ舎)。J-WAVE original podcast「おみゆの好き蒐集倶楽部」のナビゲーターを務める。
https://www.instagram.com/omiyuno/


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