SUSTAINABLE
不要になった衣料品を回収して再生。ルミネの新たな取り組み「anewloop」
2024.09.10
商業施設ルミネでは、ファッションアイテムを買い取り・回収して、リユースやリサイクルを行う資源循環サービス「anewloop(アニューループ)」を展開しています。今年の6月にサービスをスタートして以来、利用者が右肩上がりに増え続けているそう。anewloopを始めるに至った経緯と今後の展望について、ルミネ・サステナビリティ推進室マネージャーの石見康太さんに聞きました。
「着る楽しみ」と「環境負荷低減」の両立を目指す
ファッション産業は製造にかかる資源やエネルギーの量が多く、はやり廃りのスピードが速いといった理由から、環境への負荷が大きいといわれている。2022年の環境省の調査(※1)によると、日本の家庭から排出される衣服の約68%は廃棄処理されているという。そこでルミネでは、「ファッションを楽しむこと」と「環境負荷を減らすこと」を両立するために、この6月から資源循環サービスanewloopをスタート。不要になったファッションアイテムをルミネ新宿、ルミネ池袋、ルミネのネット通販「アイルミネ」で買い取り・回収して、リユースやリサイクルを行うというシステムだ。
(※1)出典:「SUSTAINABLE FASHION」(環境省)
今から10年以上前、まだSDGsという言葉が今ほど浸透していなかった頃から、ルミネは社内に「環境マネジメント室」を設置。「ルミネ環境推進プロジェクト」と題し、施設の屋上の緑化や農業プロジェクト、環境や社会にやさしいライフスタイルを提案するイベントなどを行ってきた。その流れをさらに加速させようと、2022年度に「サステナビリティ推進室」が発足。anewloopもルミネのサステナビリティへの取り組みの一環として発案され、2年以上前から実証実験を重ねてきた。
「私たちが販売したファッションアイテムがお客さまの手に渡ったのち、最終的にどんな最後を迎えるのか。正直なところ、その点にこれまでコミットできていなかったんです。サステナブル消費、つまり環境になるべく負荷をかけない消費行動に私たちがもっと貢献するには?と検討するなかで、単にモノを販売するだけでなく、資源を循環させるためのサービスを提供していくというアイデアへとたどり着きました」とサステナビリティ推進室の石見康太さんは説明する。
まずは、ルミネの顧客約4千人を対象に、衣料品のリサイクルに関するアンケート調査を実施した。すると、「手持ちのファッションアイテムを手放す時は、捨てずにリサイクルや中古品として再利用される方法を選ぶ」と答えた人が76%という結果に。一方で、「着なくなった服をリサイクルしたいけれど、どうしたらいいのかわからない」「着古した服を回収してくれるサービスが家の近くになくて困っている」といった声も多く届いたという。
「『ルミネの衣料品買い取り回収サービスがあったら使いますか』という問いには、87%の方から『使いたい』という回答をいただきました。これまでも一時的なキャンペーンとして衣料品やコスメなどの回収を行ってきましたが、みなさまの期待にお応えし、常時利用できるサービスとしてanewloopを立ち上げました」
(※1)出典:「SUSTAINABLE FASHION」(環境省)
今から10年以上前、まだSDGsという言葉が今ほど浸透していなかった頃から、ルミネは社内に「環境マネジメント室」を設置。「ルミネ環境推進プロジェクト」と題し、施設の屋上の緑化や農業プロジェクト、環境や社会にやさしいライフスタイルを提案するイベントなどを行ってきた。その流れをさらに加速させようと、2022年度に「サステナビリティ推進室」が発足。anewloopもルミネのサステナビリティへの取り組みの一環として発案され、2年以上前から実証実験を重ねてきた。
「私たちが販売したファッションアイテムがお客さまの手に渡ったのち、最終的にどんな最後を迎えるのか。正直なところ、その点にこれまでコミットできていなかったんです。サステナブル消費、つまり環境になるべく負荷をかけない消費行動に私たちがもっと貢献するには?と検討するなかで、単にモノを販売するだけでなく、資源を循環させるためのサービスを提供していくというアイデアへとたどり着きました」とサステナビリティ推進室の石見康太さんは説明する。
まずは、ルミネの顧客約4千人を対象に、衣料品のリサイクルに関するアンケート調査を実施した。すると、「手持ちのファッションアイテムを手放す時は、捨てずにリサイクルや中古品として再利用される方法を選ぶ」と答えた人が76%という結果に。一方で、「着なくなった服をリサイクルしたいけれど、どうしたらいいのかわからない」「着古した服を回収してくれるサービスが家の近くになくて困っている」といった声も多く届いたという。
「『ルミネの衣料品買い取り回収サービスがあったら使いますか』という問いには、87%の方から『使いたい』という回答をいただきました。これまでも一時的なキャンペーンとして衣料品やコスメなどの回収を行ってきましたが、みなさまの期待にお応えし、常時利用できるサービスとしてanewloopを立ち上げました」
ルミネ・サステナビリティ推進室のマネージャー、石見康太さん
不要な衣料品を回収ボックスに投入するだけ
anewloopを利用するには、いくつかの選択肢がある。まず、「不要な衣料品をすぐにでも手放したい」「売るのは面倒だけど、捨てるのはもったいない」という人におすすめなのが、ルミネ新宿 ルミネ1の5階にあるルミネサービスカウンターで、設置されている不要品回収ボックス「PASSTO(パスト)」に投入すること。PASSTOは循環型社会と循環型経済(サーキュラーエコノミー)を目指す循環商社「ECOMMIT(エコミット)」が開発したサービス。同社は国内外に100以上のリユース、リサイクルの再流通先をもち、PASSTOに預けたアイテムのリユース、リサイクル率は98%と高く、単純焼却された場合と比べて約80%のCO2排出量を削減できるという(※2)。
(※2)出典:PASSTO公式サイト。データは同社算出による。
「今回PASSTOの導入に至った決め手のひとつが、トレーサビリティがしっかりしていることでした。ルミネに設置されているPASSTO経由で回収したアイテムが、その後どんなふうにリユース、リサイクルされたのか、きちんとデータでチェックできる仕組みになっているんです。お客さまが大切にしてきたアイテムをお預かりする立場として、そのアイテムの行方を把握することは当然の責任。データは弊社の活動レポートにも掲載していく予定です」と石見さん。
ルミネ新宿 ルミネ1の8階にある「KOMEHYO買取センター」にもPASSTOを設置。こちらは、KOMEHYOに査定を依頼した際、買取基準に満たなかったアイテムをリユースやリサイクルに出したい人のための専用ボックスとなっている。
(※2)出典:PASSTO公式サイト。データは同社算出による。
「今回PASSTOの導入に至った決め手のひとつが、トレーサビリティがしっかりしていることでした。ルミネに設置されているPASSTO経由で回収したアイテムが、その後どんなふうにリユース、リサイクルされたのか、きちんとデータでチェックできる仕組みになっているんです。お客さまが大切にしてきたアイテムをお預かりする立場として、そのアイテムの行方を把握することは当然の責任。データは弊社の活動レポートにも掲載していく予定です」と石見さん。
ルミネ新宿 ルミネ1の8階にある「KOMEHYO買取センター」にもPASSTOを設置。こちらは、KOMEHYOに査定を依頼した際、買取基準に満たなかったアイテムをリユースやリサイクルに出したい人のための専用ボックスとなっている。
ルミネ新宿 ルミネ1の5階のルミネサービスカウンターに設置されている不要品回収ボックス「PASSTO」
ネット通販でも買い取りサービスを実施
ルミネ池袋ではブランド古着の買い取りと販売を行うユーズドセレクトショップ「RAGTAG(ラグタグ)」と提携し、衣料品の買い取りや回収を行うサービスを2022年8月から実施してきたが、こちらの取り組みももちろん継続。8階の「anewloop買取カウンター supported by RAGTAG」で引き続き、買い取りや回収を行っている。また、先述のアイルミネでもRAGTAGとの連携により、宅配買取サービスの申し込みを24時間受け付けている。
anewloopの利用者には特典があり、店頭(ルミネ新宿、ルミネ池袋)で買い取りや回収に協力すると、ルミネのアプリ「ONE LUMINE」に3,000マイルがプレゼントされる(1カ月1回まで)。また、アイルミネで買い取りが成立すると、アイルミネクーポン500円分が手に入る(キャンペーン時にクーポン金額が変更になる場合もある)。
anewloopの利用者には特典があり、店頭(ルミネ新宿、ルミネ池袋)で買い取りや回収に協力すると、ルミネのアプリ「ONE LUMINE」に3,000マイルがプレゼントされる(1カ月1回まで)。また、アイルミネで買い取りが成立すると、アイルミネクーポン500円分が手に入る(キャンペーン時にクーポン金額が変更になる場合もある)。
ルミネ池袋8階にある「anewloop買取カウンター supported by RAGTAG」
服を手放すことを楽しめる仕組みづくりを
anewloopでは、こんなメッセージを掲げている。
大切に手放せば、ファッションは巡り
次の誰かに愛されたり、新たな資源になる。
お出かけのついでに、ショッピングの合間に、
服や小物を次のサイクルに繋げるという、あたらしい選択。
クローゼットも心も軽やかに。
捨てない社会への循環がここから始まる。
いつも、いつまでも、ファッションを楽しもう。
私たち一人ひとりが普段からサステナビリティを意識して行動することはもちろん大切だが、物理的、心理的にハードルの高い内容だと継続させるのが難しい現実もある。anewloopでは今後、環境負荷を軽減する試みに楽しみながら参加できるような仕組みを検討しているという。
「弊社が実施したアンケート調査で見えてきたことのひとつが、ルミネの顧客の約7割がユーズドアイテムを購入したことがない、という事実でした。そういった方々に向けて、リサイクル品やリユース品をおしゃれに楽しくファッションに取り入れる方法を提案することも私たちの大事な役割だと思っています」
具体的には、anewloopを通して回収したアイテムを販売するポップアップを開催し、店頭でスタイリストやショップスタッフが個別に着こなしをアドバイスする、ブランドとコラボレーションしてリメイクしたアップサイクル品を販売するなどを考えている。
「ルミネは現代アートとの関わりも強いので、アーティストとともにリメイクに挑戦するようなイベントを行うのもいいかもしれません。そんなふうにルミネというブランドの個性を生かしながら、自然なかたちで服の廃棄が減っていくような社会を目指していけたらと考えています」
大切に手放せば、ファッションは巡り
次の誰かに愛されたり、新たな資源になる。
お出かけのついでに、ショッピングの合間に、
服や小物を次のサイクルに繋げるという、あたらしい選択。
クローゼットも心も軽やかに。
捨てない社会への循環がここから始まる。
いつも、いつまでも、ファッションを楽しもう。
私たち一人ひとりが普段からサステナビリティを意識して行動することはもちろん大切だが、物理的、心理的にハードルの高い内容だと継続させるのが難しい現実もある。anewloopでは今後、環境負荷を軽減する試みに楽しみながら参加できるような仕組みを検討しているという。
「弊社が実施したアンケート調査で見えてきたことのひとつが、ルミネの顧客の約7割がユーズドアイテムを購入したことがない、という事実でした。そういった方々に向けて、リサイクル品やリユース品をおしゃれに楽しくファッションに取り入れる方法を提案することも私たちの大事な役割だと思っています」
具体的には、anewloopを通して回収したアイテムを販売するポップアップを開催し、店頭でスタイリストやショップスタッフが個別に着こなしをアドバイスする、ブランドとコラボレーションしてリメイクしたアップサイクル品を販売するなどを考えている。
「ルミネは現代アートとの関わりも強いので、アーティストとともにリメイクに挑戦するようなイベントを行うのもいいかもしれません。そんなふうにルミネというブランドの個性を生かしながら、自然なかたちで服の廃棄が減っていくような社会を目指していけたらと考えています」
「anewloop」のロゴ。一筆書きで描かれたような襟のモチーフが、ファッションと循環の両方をイメージさせる
■アイルミネ内「anewloop」詳細
https://i.lumine.jp/contents/anewloop
※本記事は2024年09月10日に『telling,』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Ikuko Hirose, Edit: Sayuri Kobayashi
https://i.lumine.jp/contents/anewloop
※本記事は2024年09月10日に『telling,』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。
Text: Kaori Shimura, Photograph: Ikuko Hirose, Edit: Sayuri Kobayashi