LUMINE MAGAZINE

SCROLL

FASHION

WINDOW DISPLAY

現実と非現実を行き交う、ダークな世界があふれるウィンドウディスプレイ

2024.09.03

2024年8月22日(木)から10月2日(水)まで、ルミネ各館では「Just a little Sweet -ロマンティックを味方にして」をテーマとしたウィンドウディスプレイを展開しています。ひと目で印象に残るキノコが主役のデザインは、どのようにして生まれたのでしょうか。アートディレクターを務めた大島慶一郎さんに伺いました。

二面性のある“キノコ”をメインのモチーフに

テーマである「Just a little Sweet -ロマンティックを味方にして」には、単に甘くガーリィな“ロマンティック”ではなく、「内に秘めているダークな部分を、自分の世界に没頭することで昇華させ、外向きのプラスなエネルギーに変えていく」という意味合いが込められています。
加えて、ダークファンタジーの映画のようなイメージを盛り込んでほしいというリクエストを受け、大島さんがまず考えたのは「キノコ」をメインモチーフにするということでした。

「わかりやすいアイコンがあったほうがいいだろうと考えました。
キノコは『不思議の国のアリス』といったファンタジー映画にも出てくるので、今回のイメージと合うなと。それに、フォルムがすごくかわいらしい一方、毒を持っていたりと少しダークなイメージもある。その二面性が、キノコの持つ愛されるキャラクター性につながっているのだと思います。
それらの特徴を、女の子が内に秘めるファンタジーさとどうリンクさせられるか考えました」

次に生まれたアイデアは、ウインドウの空間を部屋に見立てること。「全体の雰囲気は、あえていま流行っているようなフューチャーテイスト感ではなく、レトロな可愛いらしさのあるビンテージアメリカ映画のような世界観を目指すことにしました」と大島さんは話します。

「部屋のなかで主役となる存在として、キノコ型のランプシェードをつくってみようと。人物モデルが入っているビジュアルでは“キノコ貴婦人”をコンセプトにして、夜になるとランプが人間に戻って動き出す……というようなファンタジックなストーリーを組み立てていきました」

「“キノコ貴婦人”はビンテージシネマを参考に、マダムのナイトウェアをイメージしてつくりました」と大島さん。“キノコ感”を出すために、エリをキノコのひだを模して二重にしたり、袖口が広がっているシルエットにしたりするなど、細かな調整を重ねたそうです。

さらに、今回のコンセプトを強化しているのが「Just a little Sweet」の文字。2種類の書体が異なる色で重ねられていて、現実と非現実、ファンタジーとダークを行き交う世界観を演出しています。

「ダークファンタジーやホラー系の古い洋画では、ロゴに使われていることも多い蛍光グリーンで、非現実や少しダークネスな雰囲気を表しました。それに対して、もう1色は補色のピンク色を使用。こちらは対して現実やファンタジー、可愛いといったイメージを表現したものです。
フォント、色、共に相反するものを重ねることで大胆な印象に仕上がったと思います」

インパクト大の立体物にも注目

一部のウィンドウには、巨大なキノコのランプが立体物となって展示されています。「いつも立体造形などの制作をお願いしている会社、スーパーエジソンさんが、今回も素晴らしいクリエイションを施してくれました」と大島さん。ランプには実際に光が灯るようになっています。「キノコの持つヒダ部分を紙で作った方がより違和感を楽しめそう」など、さまざまなアイデアを交わしながらつくりあげていったそうです。

インパクトのある造形が目を引く今回のウィンドウディスプレイ。
スウィートファンタジーとダークネスな世界を行き来する空間が、新しい季節に新しいファッションを楽しむ気持ちを刺激してくれそうです。
期間/2024年8月22日(木)〜10月2日(水)予定
ウィンドウテーマ/Just a little Sweet -ロマンティックを味方にして
実施館/ルミネ新宿、ルミネエスト新宿、ルミネ有楽町、ルミネ北千住、ルミネ池袋、ルミネ立川、ルミネ町田、ルミネ荻窪、ルミネ大宮、ルミネ横浜

---------------
Art Direction & Design/大島慶一郎(@keiichirooshima


===================
■関連記事
>> ノスタルジーに触れ、新たな旅に思いを馳せたくなるシーズンディスプレイ

TOP