LIFESTYLE
2416MARKET
自然を守りながら、魚を食べる文化を次の世代に伝えていきたい
2021.02.26
ニュウマン横浜6Fにある「2416MARKET」は、神奈川県をテーマにした新しいマーケット。神奈川県の厳選素材を使ったメニューが楽しめる「2416MARKET PASTA&」や、地元で愛されている雑貨やアパレル、グロッサリーなどをセレクトした「2416MARKET THINGS」など、7つのショップ&レストランからなります。
2416MARKETが大切にしているのは、生産者さんやクリエイターとのつながり。三崎まぐろの卸問屋・三崎恵水産が展開している「FISHSTAND」もそのひとつです。毎日の食卓を彩ってくれる、“まぐろコンフィ”に込めた思いとは? 石橋悠さんと原瀬波音さんにお話を伺いました。
2416MARKETが大切にしているのは、生産者さんやクリエイターとのつながり。三崎まぐろの卸問屋・三崎恵水産が展開している「FISHSTAND」もそのひとつです。毎日の食卓を彩ってくれる、“まぐろコンフィ”に込めた思いとは? 石橋悠さんと原瀬波音さんにお話を伺いました。
はじまりは、家族のために作った手料理
― FISHSTANDを展開している、三崎恵水産の歴史について教えてください。
石橋悠さん(以下「石橋さん」):ここ城ヶ島は三浦半島の最南端にある島。湾を挟んだ三崎港は古くからまぐろ漁港として栄え、今でも100社ほどのまぐろ問屋があります。現会長が身ひとつでまぐろを仕入れ、販売することから始めて今年で53年が経ち、今では全国の料亭やホテル、飲食店などに卸しています。わたしの夫でもある現社長が後を継いでからは、海外にも販路を拡大しました。
原瀬波音さん(以下「原瀬さん」):東京から三崎までは電車で1時間ちょっとしかかかりません。それでも、三崎で食べるまぐろと都内の飲食店で食べるまぐろでは、鮮度も味も違って感じられると思います。わたしは三崎出身ではなく、ここで働き出してから、三崎の人たちがまぐろに誇りを持っていることを肌で感じていました。
― FISHSTANDはおふたりで立ち上げたのですか?
原瀬さん:いえ、立ち上げは石橋がひとりで、3人の子どもを抱えながらがんばったんです。わたしは石橋の大学の後輩で3年ほど前に声をかけてもらい、手伝うようになりました。
石橋さん:FISHSTANDは、わたしが家で子育てをしながら作っていたまぐろのコンフィ、つまり自家製ツナを商品化したいねという動きがあったのが始まりです。工房を立ち上げた当初は少量を作って近くのマーケットなどで販売していたのですが、いろんな方から好評をいただいて。まぐろコンフィを食べたお客さんがお刺身も食べたいと言ってくれるようになり、柵などの商品も増やしていきました。今はまぐろコンフィを看板商品として、刺身やづけ丼、さらにかじきやさばの商品も展開。2416MARKETのようなショップに卸したり、オンラインショップで販売したりしています。
洋食やパンにも合うまぐろコンフィは今のライフスタイルに取り入れやすく、刺身とは違う楽しみ方ができます。「忙しいけれどちゃんとしたものを食べたい」「おいしいものを食べたい」「ちょっとおしゃれな手土産がほしい」という人に対して、まぐろのおいしさをもう一度知ってもらえたらうれしいですね。
石橋悠さん(以下「石橋さん」):ここ城ヶ島は三浦半島の最南端にある島。湾を挟んだ三崎港は古くからまぐろ漁港として栄え、今でも100社ほどのまぐろ問屋があります。現会長が身ひとつでまぐろを仕入れ、販売することから始めて今年で53年が経ち、今では全国の料亭やホテル、飲食店などに卸しています。わたしの夫でもある現社長が後を継いでからは、海外にも販路を拡大しました。
原瀬波音さん(以下「原瀬さん」):東京から三崎までは電車で1時間ちょっとしかかかりません。それでも、三崎で食べるまぐろと都内の飲食店で食べるまぐろでは、鮮度も味も違って感じられると思います。わたしは三崎出身ではなく、ここで働き出してから、三崎の人たちがまぐろに誇りを持っていることを肌で感じていました。
― FISHSTANDはおふたりで立ち上げたのですか?
原瀬さん:いえ、立ち上げは石橋がひとりで、3人の子どもを抱えながらがんばったんです。わたしは石橋の大学の後輩で3年ほど前に声をかけてもらい、手伝うようになりました。
石橋さん:FISHSTANDは、わたしが家で子育てをしながら作っていたまぐろのコンフィ、つまり自家製ツナを商品化したいねという動きがあったのが始まりです。工房を立ち上げた当初は少量を作って近くのマーケットなどで販売していたのですが、いろんな方から好評をいただいて。まぐろコンフィを食べたお客さんがお刺身も食べたいと言ってくれるようになり、柵などの商品も増やしていきました。今はまぐろコンフィを看板商品として、刺身やづけ丼、さらにかじきやさばの商品も展開。2416MARKETのようなショップに卸したり、オンラインショップで販売したりしています。
洋食やパンにも合うまぐろコンフィは今のライフスタイルに取り入れやすく、刺身とは違う楽しみ方ができます。「忙しいけれどちゃんとしたものを食べたい」「おいしいものを食べたい」「ちょっとおしゃれな手土産がほしい」という人に対して、まぐろのおいしさをもう一度知ってもらえたらうれしいですね。
左から、さばコンフィ756円、まぐろコンフィ864円、かじきコンフィ864円。2416MARKETでも販売中(生産状況により変更あり)。
まぐろはいろんな料理に使える万能選手
― まぐろコンフィのおすすめの食べ方はありますか?
原瀬さん:そのままお皿に出してワインのお供にしたり、ほぐしてサラダに載せるのも簡単でおすすめなのですが、なんといってもいろんな料理にも活用できるのがメリットです。
― Webサイトでは石橋さんのオリジナルレシピを公開していますよね。
石橋さん:まぐろは加熱するとお肉の代わりにもなりますし、ありとあらゆる料理が作れるんですよ。実は万能選手なんです。レシピを作るほど、まぐろのおもしろさと汎用性の高さに驚かされます。
原瀬さん:いつか“まぐろ料理研究家・石橋悠”の本を出すことをめざして、レシピをためているんです(笑)。石橋が作るまぐろ料理って本当においしくて、わたしも始めて食べたときは感動しました。これは絶対、みなさんにも作って食べてみてほしい!と思って。食べることって、夢がありますよね。まぐろはハレの日の食材でもあるので、きっと人を感動させられる力があると思います。FISH STANDの商品や石橋のレシピを通して、「魚ってこんなにおいしいんだ」と感じてもらいたいですね。
原瀬さん:そのままお皿に出してワインのお供にしたり、ほぐしてサラダに載せるのも簡単でおすすめなのですが、なんといってもいろんな料理にも活用できるのがメリットです。
― Webサイトでは石橋さんのオリジナルレシピを公開していますよね。
石橋さん:まぐろは加熱するとお肉の代わりにもなりますし、ありとあらゆる料理が作れるんですよ。実は万能選手なんです。レシピを作るほど、まぐろのおもしろさと汎用性の高さに驚かされます。
原瀬さん:いつか“まぐろ料理研究家・石橋悠”の本を出すことをめざして、レシピをためているんです(笑)。石橋が作るまぐろ料理って本当においしくて、わたしも始めて食べたときは感動しました。これは絶対、みなさんにも作って食べてみてほしい!と思って。食べることって、夢がありますよね。まぐろはハレの日の食材でもあるので、きっと人を感動させられる力があると思います。FISH STANDの商品や石橋のレシピを通して、「魚ってこんなにおいしいんだ」と感じてもらいたいですね。
ウインドサーフィンで生まれた、豊かな自然への思い
― 三崎恵水産は、資源枯渇化につながる漁法で獲れた魚は扱わない、太陽光発電を導入するなど、環境に配慮するいろいろな取り組みを行っていますよね。きっかけはあったのでしょうか?
石橋さん:現社長の思いがあって始めたことなのですが、大きなきっかけはやはり東日本大震災でしょうか。自分たちが利用しているエネルギーがあれだけの破壊力をもつことを見せつけられたと同時に、水産業は、たくさんのエネルギーを使っているんだと再認識しました。まぐろを保管するための超低温冷蔵室を保有しているので、日々ものすごい量の電力を必要とするんです。
できることから一つひとつやって、子どもたちが変わらず魚を食べていけるような取り組みを今しないと、魚食文化も廃れていってしまうし、自分たちの業態も危うくなる。そういう考えから、いろんな取り組みをするようになりました。
原瀬さん:わたしは石橋と20年らいの付き合いがあるんですが、彼女はもともと自然に負荷をかけないようなライフスタイルを選んでいる人なんです。今も庭で鶏を育てて、獲れた卵を家族で食べたり、そういう暮らしぶり。企業として取り組んでいることではあるのですが、石橋がもともと持っている信念みたいなものが根っこにあるのかなと思っています。
石橋さん:わたしたち夫婦と原瀬は、大学のときのウインドサーフィン仲間なんです。そのときの“自然で遊ばせてもらっている”という感覚がベースにあるので、暮らしやビジネスのなかでできるだけ自然を汚したくないなって。そういう生き方をしたくて、近隣の伐採木をもらって薪ストーブを焚いたり、農家さんから直接野菜を購入したりしているので、仕事においてもその姿勢を反映できるようになるといいなと、ずっと思っています。
石橋さん:現社長の思いがあって始めたことなのですが、大きなきっかけはやはり東日本大震災でしょうか。自分たちが利用しているエネルギーがあれだけの破壊力をもつことを見せつけられたと同時に、水産業は、たくさんのエネルギーを使っているんだと再認識しました。まぐろを保管するための超低温冷蔵室を保有しているので、日々ものすごい量の電力を必要とするんです。
できることから一つひとつやって、子どもたちが変わらず魚を食べていけるような取り組みを今しないと、魚食文化も廃れていってしまうし、自分たちの業態も危うくなる。そういう考えから、いろんな取り組みをするようになりました。
原瀬さん:わたしは石橋と20年らいの付き合いがあるんですが、彼女はもともと自然に負荷をかけないようなライフスタイルを選んでいる人なんです。今も庭で鶏を育てて、獲れた卵を家族で食べたり、そういう暮らしぶり。企業として取り組んでいることではあるのですが、石橋がもともと持っている信念みたいなものが根っこにあるのかなと思っています。
石橋さん:わたしたち夫婦と原瀬は、大学のときのウインドサーフィン仲間なんです。そのときの“自然で遊ばせてもらっている”という感覚がベースにあるので、暮らしやビジネスのなかでできるだけ自然を汚したくないなって。そういう生き方をしたくて、近隣の伐採木をもらって薪ストーブを焚いたり、農家さんから直接野菜を購入したりしているので、仕事においてもその姿勢を反映できるようになるといいなと、ずっと思っています。
水産業に足りなかった女性目線
― FISHSTANDでこれからやっていきたいことはありますか?
原瀬さん:“魚は肉の2番手”みたいなところがまだあると思うのですが、一方で魚の栄養価が高いことも注目され始めていますし、お肉を食べない方も増えています。FISHSTANDでは、作ったものを売るだけというよりは、まぐろをはじめとした魚の食べ方全般に対して、価値観とかライフスタイル、そういうところにアプローチしていきたいなと思っています。
石橋さん:FISHSTANDを続けてきて思うのは、水産に携わっているプレイヤーには女性がほとんどいないということ。でも、食材を選んだり、調理して誰かに食べてもらうのって、現状では女性が多いんですよね。水産業界には女性的な目線が圧倒的に足りなくて、それがゆえに魚を食べることの素晴らしさがあんまりうまく広く伝わっていないのかなとも思ったりして。
― たしかに、水産業というと男性のイメージがあります。
原瀬さん:ほんとうに男社会なので、わたしたちはすごく浮いてるんです(笑)。でも、FISHSTANDのお客さんって、間違いなく私たちと同じ30、40代の女性が多くて。今まで積極的に魚を食べてこなかった方たちの、隠れたマーケットみたいなものを掘り起こしているところにやりがいを感じます。
― 2416MARKETも、その機会のひとつになっているのでしょうか?
原瀬さん:そうですね。2416MARKETでの販売を始めてから、「買ったよ」とか、「近くで買えるようになってよかったです」とわざわざメールを送ってくださるお客さまもいらっしゃいます。やっぱり、駅直結のニュウマンのなかにありますし、広くておもしろいので長く滞在する人が多いのではないでしょうか。パッと行ってパッと帰るというよりは、店内をぐるっと回って「こんなのもあるんだ」という感じで商品を見つけていただいているのかなと。最近では「2416MARKET PASTA&」でもまぐろコンフィを使ったパスタの提供が始まり、より多くの方に広めていけることがすごくうれしいです。
原瀬さん:“魚は肉の2番手”みたいなところがまだあると思うのですが、一方で魚の栄養価が高いことも注目され始めていますし、お肉を食べない方も増えています。FISHSTANDでは、作ったものを売るだけというよりは、まぐろをはじめとした魚の食べ方全般に対して、価値観とかライフスタイル、そういうところにアプローチしていきたいなと思っています。
石橋さん:FISHSTANDを続けてきて思うのは、水産に携わっているプレイヤーには女性がほとんどいないということ。でも、食材を選んだり、調理して誰かに食べてもらうのって、現状では女性が多いんですよね。水産業界には女性的な目線が圧倒的に足りなくて、それがゆえに魚を食べることの素晴らしさがあんまりうまく広く伝わっていないのかなとも思ったりして。
― たしかに、水産業というと男性のイメージがあります。
原瀬さん:ほんとうに男社会なので、わたしたちはすごく浮いてるんです(笑)。でも、FISHSTANDのお客さんって、間違いなく私たちと同じ30、40代の女性が多くて。今まで積極的に魚を食べてこなかった方たちの、隠れたマーケットみたいなものを掘り起こしているところにやりがいを感じます。
― 2416MARKETも、その機会のひとつになっているのでしょうか?
原瀬さん:そうですね。2416MARKETでの販売を始めてから、「買ったよ」とか、「近くで買えるようになってよかったです」とわざわざメールを送ってくださるお客さまもいらっしゃいます。やっぱり、駅直結のニュウマンのなかにありますし、広くておもしろいので長く滞在する人が多いのではないでしょうか。パッと行ってパッと帰るというよりは、店内をぐるっと回って「こんなのもあるんだ」という感じで商品を見つけていただいているのかなと。最近では「2416MARKET PASTA&」でもまぐろコンフィを使ったパスタの提供が始まり、より多くの方に広めていけることがすごくうれしいです。
城ヶ島で知った魚のおいしさを伝えたい
― 魚食文化を次世代につないでいくことへの思いを聞かせてください。
原瀬さん:今、すごく時代が変わってきていて、環境問題は深刻な状況にあります。そういうことって、日常に追われていると忘れがちなんですよね。でも食べるという行為は生きてるかぎり必ずすることなので、食べることが環境問題を意識するきっかけになったらいいなと思っています。わたしたちが扱っているまぐろはすべて天然で、海にワイルドにいるもの。人間と同じように、どこかで生きているまぐろを獲って売ることを生業にしているからこそ、子どもたちと一緒に環境のことや、循環の仕組みについて考えることができると思うんです。そんなふうに、社会とのつながりも含めて、魚食文化をみんなで考えていきたいなと考えています。
石橋さん:わたしは普通のサラリーマン家庭で育ち、食卓に並ぶ魚といえばお刺身や焼き魚がほとんどでした。でも結婚してから、義理の父や夫が市場で目利きして買ってくる魚を食べるようになり、「なにこれ!? 今まで食べてきた魚と全然違う」って驚くことばかりなんです。だから純粋に、魚ってこんなにおいしくて、こんなにいろんな食べ方があるんだっていうのを、子どもにも、大人にも、もっと多くの人に知ってもらいたい。わたしも城ヶ島に来るまで知らなかった魚本来のおいしさを、商品づくりを通して伝えていきたいです。
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FISHSTAND
→公式サイト
→Instagram(FISHSTAND)
→Instagram(まぐろ屋レシピ)
→note(まぐろ屋レシピ)
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2416MARKET
神奈川県横浜市西区南幸1-1-1 NEWoMan YOKOHAMA 6F
10:00〜21:00(土日祝10:00〜20:30)
※当面のあいだ営業時間を短縮させていただきます。詳細は各ショップまでお問い合わせください。
原瀬さん:今、すごく時代が変わってきていて、環境問題は深刻な状況にあります。そういうことって、日常に追われていると忘れがちなんですよね。でも食べるという行為は生きてるかぎり必ずすることなので、食べることが環境問題を意識するきっかけになったらいいなと思っています。わたしたちが扱っているまぐろはすべて天然で、海にワイルドにいるもの。人間と同じように、どこかで生きているまぐろを獲って売ることを生業にしているからこそ、子どもたちと一緒に環境のことや、循環の仕組みについて考えることができると思うんです。そんなふうに、社会とのつながりも含めて、魚食文化をみんなで考えていきたいなと考えています。
石橋さん:わたしは普通のサラリーマン家庭で育ち、食卓に並ぶ魚といえばお刺身や焼き魚がほとんどでした。でも結婚してから、義理の父や夫が市場で目利きして買ってくる魚を食べるようになり、「なにこれ!? 今まで食べてきた魚と全然違う」って驚くことばかりなんです。だから純粋に、魚ってこんなにおいしくて、こんなにいろんな食べ方があるんだっていうのを、子どもにも、大人にも、もっと多くの人に知ってもらいたい。わたしも城ヶ島に来るまで知らなかった魚本来のおいしさを、商品づくりを通して伝えていきたいです。
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