東京パフェ案内
講師:斧屋(パフェ評論家)
7月講座の講師は、日本で唯一の“パフェ評論家”である斧屋さんです。著書である『東京パフェ学』(文化出版局)、『パフェ本』(小学館)をベースとした最新の東京のパフェ店の案内はもちろん、パフェはエンターテイメントという視点から、パフェ文化やパフェの食べ方の楽しみ方などをお話いただきます。
ぼくの好みは、香りがいいパフェなんです。パフェで、香りを楽しもうという発想は起きづらいかもしれませんが、切りたてのフルーツって、まず香りがしてきますよ。紅茶専門店のパフェもおいしいことが多いんですが、それも香りに関係しています。アイスクリームやゼリーに紅茶を使っていて、パフェの背骨がしっかりしているからなんです。
フルーツや紅茶、コーヒーなどを扱うそれぞれの専門店では、専門にしている素材の魅力を楽しんでもらいたくてパフェをつくっているケースが多いから、おいしいパフェを食べられることが少なくありません。また、パフェのおいしいお店だったら、パフェで表現したいことに合わせてグラスをそろえていることが多い。パフェが出てくる前に、食器が出てきた段階で、「このお店は大丈夫」と感じることもあるくらいです。
ぼくは一目でパフェを判断できるようになってきたので、Instagramでパフェを探します。何を見て判断するかっていうのはむずかしいですが、例えば生クリームなら、甘さは見た目で推測できるので、生クリームの使い方を見ると、パフェの構成にも気を使ってつくっているかどうかを判断できます。
パフェって、本当にいろいろなところで出会えるんですよ。フルーツパーラー、お菓子屋さんやカフェ、コンビニにファミレス、あとは物産展。スーパーのチルドコーナーにもありますし、回転寿司にもありますよね。出会えるチャンスは多いから、パフェを食べ慣れていない人の場合は、ファミレスやコンビニのような手に取りやすいパフェから食べていくといいんじゃないでしょうか。
東京は、特にフルーツパーラーが多いんです。パティスリー(お菓子屋さん)にも、イートインでパフェを出すところが増えていますし、絶対数は確実に増えています。ただ、偶然に良いパフェに出会うのはむずかしいので、事前にリサーチしたほうがいいですよ。季節限定でパフェを出すお店も増えていて、上手に情報を調べると、いろいろなお店に出会えます。
いろいろなパフェを食べまわってみると、自分の傾向性がどこにあるのかがわかってきて楽しくなります。自分の好みってわかっていないことが多いんです。いろんなフルーツが乗っているパフェを食べながら、どのフルーツが好みだとか。改めて食べてみると、普段あまりフルーツを食べていないことにも気づいたりします。
そして、好みがわかってきて、例えば桃が好きだったら桃の時期に桃パフェばかりを集中的に食べにまわるという楽しみ方もあります。いちご好きなら、いちごパフェの時期だけ楽しむのでもいいです。旬の時期になると、いちごにこだわったパフェを出すお店も増えていますから。桜の季節にさくらパフェを出すお店も結構あったりして、そういうお店を回るだけで週末の予定が埋まってしまうくらいです。
最終的には、自分なりの楽しむ基準を持つことができたらいいですよね。パフェと対話するように食べていると、自分の状態がわかるようにもなってきます。焦って食べてしまっていたら、日頃の生活でストレスが溜まっていることにも気づけたり。なるべく自分は集中してゆっくりとパフェを食べるようにしています。そんな風に没頭する時間を持つことができるのも、パフェと向き合う魅力のひとつですね。
7月講座の講師は、日本で唯一の“パフェ評論家”である斧屋さんです。著書である『東京パフェ学』(文化出版局)、『パフェ本』(小学館)をベースとした最新の東京のパフェ店の案内はもちろん、パフェはエンターテイメントという視点から、パフェ文化やパフェの食べ方の楽しみ方などをお話いただきます。
パフェ評論家、ライター。「パフェはエンターテインメント」という視点からブログで独自のパフェレポートを執筆。パフェの魅力を多くの人に伝えるために、雑誌やラジオ、トークイベントなどで活動。2015年に『東京パフェ学』(文化出版局)、2018年に『パフェ本』(小学館)を単著で出版。