上司に言われてハッとした

そんな私に上司はズバリ、「向いているか、向いていないかは、自分で決めることじゃない」って。その部署になったのも、私から手を挙げたわけではないし、そのまま店長をしていたかったから、「こんな部署ができたせいで」って外の責任にするモードに入っちゃっていたんですけど、ハッとしました。

私が悩んでいることをわかってくれていたから、そう言ってくれたんだと思うんです。「自分の向き不向きは、自分で選ぶもんじゃないんだ」と、急に素直に真正面から受け止めることができて、しかも上司は、「向いていると思うよ」って。「もうちょっと頑張ってみよう」と思えるきっかけでした。

全員が渡してもらえるチャンスではないなかで、「やってみないか?」って私にはチャンスをくれた人がいたわけで、見切りをつけず、やりきったと思えるところまでやって、それでも違ったらもう1回言おうと、腹をくくれたんです。でも、そのあと法人営業部から人材開発部に移ったときも、葛藤の連続でしたよ。

やる気に変わる感情を変に抑えない

営業は結果を見やすくて、1日の売上や客数のような目標が身近にあったけど、人材開発のように、人に関わる仕事は1年がかりで、全然、手応えがなくて、最初はやりがいを感じられなかったんですね。気持ちも強気だったところからどこか弱くなっていって、確信が持てなくなったんですけど、そのときも私に任せようと思ってくれた人がいて、向いていると思われているのなら、「まだできていないだけだ、やり続ければきっと」って。

社長にも「向いているか向いていないか、正直わからないけれど、精一杯にやろうと思います。けど、客観的に違うと思ったら、いつでも外してください。どこのポジションにいても、仕事の手を抜くつもりはないし、降格されたとも思わないので、いつでも!」って言ってました。

「自分無理かも」って思っているときって、若干、負けてるじゃないですか。負けてる最中は、またしても“私は向いてないかも”モードに入るんですけど、「このまま終わったら悔しい」って、負けず嫌いな感情が沸いて。そういうときには感情を変に抑えていなくて、「なんでこんなに大好きなことをやめなきゃいけないんだ」って謎の怒りのようなものと、私自身に対する、「この状況を絶対に変えるぞ」って悔しさが、踏ん張るやる気に変わっていきます。

違う自分を表現できた場所

たぶん、「なんでこうなっちゃうんだろう?」とか「もっとこうしたらいいのに!」という、ちょっとムカついていたり、イラついていたりするのが、私らしさなのかな。そういう感情がなくなったときって、少しだけモヤモヤします。「最近、怒りがわかない」とか、「ムカつかないなぁ」とか。私にとって、怒りのようなエネルギーは活力だったんです。

葛藤を覚えるところに私から飛び込んでいくわけにはいかなくても、ゴールをみんなで達成できたときに、「とはいえ」って、すんなり満足しないように意識して、それがまた活力になって、何かがはじまることを繰り返している気がします。でも、オフになったら寝ているのが好きですし、自分のことには無頓着ですよ。

一緒に何かをやっているほうが、私だけを見られることよりも大事って思っちゃう。そんな私らしさは、仕事を通じて知ったことだと思っていて。私にとっても、新しい発見になったし、新しいきっかけをくれました。ひとりで生きていくだけでは出すことのなかった、違う私を表現できた場所。それが、仕事なのかな。

働き方も自分らしく楽しむ

働き方も自分らしく楽しむ

講師:江澤身和(株式会社スープストックトーキョー 取締役副社長)

8月講座の講師は、株式会社スープストックトーキョー取締役副社長 兼 店舗営業部長の江澤身和さんです。「働き方“開拓”」と銘打って年間休日休暇120日を確保する「生活価値拡充休暇」など、“人を大切にする”を基軸としたユニークな人事制度を展開している江澤さんに、「働き方も自分らしく楽しむ」と題して、働く上で大切にしていることや多様な働き方について、いろいろとお話をうかがいます。

日時
2019年8月28日(水)19:30~21:30
会場
カフェパーク(恵比寿)
参加費
無料
定員
60名
※応募者多数の場合は抽選となります。
受付期間
2019年7月25日(木)〜8月18日(日)

江澤身和(株式会社スープストックトーキョー 取締役副社長)

株式会社スープストックトーキョー取締役副社長 兼 店舗営業部長。2005年、パートナーとして入社。社員登用ののち複数店舗の店長を経て、法人営業グループへ異動し、冷凍スープの専門店の業態立上げと17店舗の新店立上げをする。2016年2月、株式会社スープストックトーキョーの分社に際し、取締役兼人材開発部部長に着任。 “人を大切にする”を基軸とした14の人事制度を展開。2018年、「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2018」 チェンジメーカー賞を受賞する。2019年4月より、取締役副社長と店舗営業部部長として、ブランドを牽引する。