2017.1.25
Report 2/3
講師:田島朗(Hanako編集長)、平野紗季子(フードエッセイスト)、小谷実由(ファッションモデル)

小谷さんの3つのキーワード
〈場所〉〈モノ〉〈時間〉

「田島さんの東京情報、もっと聞きたかった(笑)」と、次に話しはじめたのは小谷さん。小谷さん流の東京の楽しみ方は、「場所」「モノ」「時間」の3ジャンルに「自分の“好き”を落とし込む」というもの。まずは「場所」のお話から、小谷さんが気になっているのは昭和の雰囲気が残った喫茶店だそう。

こんな色合わせあるの? と思うような壁やソファ、ゴテゴテの装飾、たまごサンドやクリームソーダ、お店の人との絶妙な距離感……。すべてが大好きなんです。シンプルなものが多い現代だからこそ、レトロでごちゃごちゃした雰囲気に惹かれるのかもしれません。「今日はあの喫茶店に行くからこの服をコーディネートしよう」とか、お店の壁紙が気になったら「同じような柄のワンピースを古着屋さんに探しに行こう」とか、ファッションにつなげて楽しむんです。喫茶店の世界に溶け込むような気持ちで。最初は入りづらいですが、みなさんも気になる喫茶店を見つけたら、えいっ! と飛び込んでみてください。

続いてのキーワードは「モノ」。“好き”を“モノ”に落とし込むという点では、デザイナーではない人がつくるファッションアイテムほど熱量が高くて面白い、と小谷さん。たとえばモデルのMegumuさんとフォトグラファーのタミー・ボルピさんがつくる猫Tシャツ、アーティスト「Enjoy Music Club」のアパレルグッズ、アイドルグループ「でんぱ組.inc」の夢眠ねむさん“公認の非公式”グッズ……。

今、めちゃくちゃ注目しているのが「Trischwa」(トリシュワ)という謎のアーティスト団体のグッズ。たまにイベントに出店して、謎のお水やステッカーを売ってたりして。「毎日の暮らしにアクアク感を」がコンセプトだという、なかなか不思議な人たち(笑)。キャッチーですごくいいんですよ。こういう“好き”をモノに落とし込んだグッズって、身につけて持ち歩くことができるし、「それ何?」と聞かれたときに人に教えて広めることができるのが、すごくいいなって思います。

ちなみに、小谷さん自身も、もうひとりの講師平野紗季子さんとともに「喫茶店グッズ」をつくっているそう。2人が大好きな東銀座の「喫茶YOU」公認、オムライストートバッグやクリームソーダ色のハンカチ、ケチャップのマグネットや、小谷さんが行っている「喫茶部」という活動の、全国の名喫茶店の名前が書かれた「喫茶ツアーTシャツ」。どれも小谷さんの“好き”が詰まった、こだわりのオリジナルグッズです。

そして最後のキーワードは「時間」。小谷さんが大事にしているのは、時間を割いてその場所まで行き、時間をかけて探して、時間をつくって体感すること。原宿の「DEPT TOKYO」や中目黒の「Olgou」で古着を探したり、「waltz」で中古レコードを“ジャケ買い”したり、ビンテージショップが集まるフリーマーケット「Raw Tokyo」に出かけたり。東京を楽しむために何より大切なのは「行動力」だと小谷さん。

生まれ育った下町も好きだし、渋谷も原宿も中目黒も行くし、でも新橋とかオフィス街も好きだし。好きなものに合わせて東京をエリア分けして暮らせたらいいなって思います。東京は入れ替わりが激しいので、今度行こうと思っていた喫茶店が次に行ったらなくなっていたなんてこともよくあって。東京をもっと楽しむためには、本当に行動力が必要だと思うんです。

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