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きょうは本屋に寄って帰ろう/Vol.6(選者:小谷実由さん)

2023.11.25

本を愛するあの人が、ルミネのシーズンテーマを切り口におすすめの本を紹介するこの企画。今回はモデルの小谷実由さんに、「Inspiring Party - パーティーはこれから」をテーマに2冊の本を選んでもらいました。
いよいよやってきたホリデーシーズン。友だちとにぎやかな街に出かけたり、家族とホームパーティーをしたり、バーチャル空間で仲間たちと盛り上がったりと、楽しみ方は人それぞれです。1年間がんばった自分へのご褒美に、この季節を思い切り満喫してみる。そのことが、イマジネーションやクリエイティビティを刺激する、新しい世界への扉になるかもしれません。

『表参道のヤッコさん』著:高橋靖子(河出文庫)

「日本でスタイリストという職業を創った草分け的存在である、ヤッコさんこと高橋靖子さん。そんな彼女が躍進した1970年代前後の日々たちを、自身の思い出や多くの写真たちと共に彼女の言葉で回想していく自伝的エッセイ。本を開けば、彼女が歩む新しいことの連続だっためくるめく東京が、世界が、視界に飛び込んでくる。

私がよく行く大好きな本屋さんは、しばらく談笑してから、おすすめの本を選んでくれる。数年前に『おみゆさんには、こうなって欲しいなぁ』と言われながら差し出された本を、私は2年ほどかけながらゆっくりと読み終えました。結果として、私はこんな風に時代を創るような偉大な人にはまだまだ手が届きそうにもないぞ……と思ったけど、彼女の一度きりの毎分毎秒を躍進する姿や、当時そこにいた者にしか得られないであろう異彩を放つ興奮や感動の眩しさの数々はとても憧れるものがあります。人生は自分の判断でどのようにも変化していく。異世界への入口は自分の努力で見つけることができるのかもしれないと勇気をもらえました」

『シンジケート [新装版]』著:穂村弘(講談社)

「歌人 穂村弘さんのデビュー歌集の新装版。五・七・五・七・七の中に並ぶ言葉たちはそれぞれいつも日常で目にしている安心感のある言葉ばかり。それがどうしてだろう、並んで交わった瞬間に知らない顔を見せてくるのです。

短い言葉の羅列から映画のワンシーン(もしくはそれ以上)のような景色を思い浮かべてしまうたび、短歌には不思議な力があるといつも思わされます。友達の家でパーティーをして一通り遊び明かし、心地よい疲労感に包まれた夜更け、本棚から見つけて少し夢見心地な気持ちの中でソファに埋もれながら読みたい。一気にこの短歌の世界の中に飛んでいけそうな気がします」


小谷実由
ファッション誌やカタログ・広告を中心に、モデル業や執筆業で活躍。一方で、さまざまな作家やクリエイターたちとの企画にも取り組む。猫と純喫茶をこよなく愛する。愛称はおみゆ。2022年7月に初めての著書であるエッセイ集『隙間時間』(ループ舎)を刊行した。J-WAVE original podcast「おみゆの好き蒐集倶楽部」のナビゲーターを務める。
https://www.instagram.com/omiyuno/


※該当書籍の取り扱いは各店舗へお問い合わせください



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