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きょうは本屋に寄って帰ろう/Vol.16(選者:木村綾子さん)

2024.10.31

本を愛するあの人が、ルミネのシーズンテーマを切り口におすすめの本を紹介するこの企画。今回は「Neo Naturalist -未来を守る小さなアクション」をテーマに、オンライン書店&出版社「COTOGOTOBOOKS(コトゴトブックス)」の代表であり、文筆家でもある木村綾子さんにセレクトしてもらいました。
循環型の社会をつくっていくために、必要なものはなんでしょうか? それは、いま必要なものを、必要な分だけ形にして、本当の豊かさを手にすることです。使い込んだ道具に新しい魅力を見出すクリエイティビティ。リセールで1点ものと出合う喜び。日々口にしている食べ物のふるさとに想いを馳せること。小さなアクションが、わたしたちの未来を大きく変えていきます。

『台所道具を一生ものにする手入れ術』著:日野明子(誠文堂新光社)

経年していくことの美しさを感じられるようになったのは、いつの頃からだっただろう。先日、友人と一緒に欠けたお皿を金継ぎしながら、ふとそんなことを思っていました。

漆の器や曲げわっぱ、土鍋に鉄のフライパン、包丁、琺瑯、蒸篭……。本書は、作家や職人の手仕事による台所道具を長く使い続けるために、素材の特性に合わせた手入れのポイントを、人気の作り手25人に取材しながら写真と文章で紹介するものです。

巻末には、本のなかで紹介された台所道具の作り手の問い合わせ先、販売先も掲載されているので、良いものを長く使いたいと思いつつ、なにを選んだら良いか分からずにいる方は、一生ものの台所道具に巡り合えるかもしれません。

ちなみに私はこの本がきっかけで、omoto鈴木康人さんの鋼の包丁と出合いました。

『会いたくて、食べたくて』著:野村友里(マガジンハウス)

「ごはんのこと考えるときって、好きな人に直結するから。」
点けていたテレビから、そんな声が聞こえてきてハッとしました。
ごはんは好きに直結する。たとえばそれは、美味しいものを食べてるときに「あの人にも食べさせたい」と思い出す人のいる幸福。あるいは、あの人が作ったものだから食べたい、と思えるもののある豊かさ。

本書は、野村さんが信頼する101の美味しさと、その生産者たちの生き方を紹介する食のガイド本です。

静岡 長谷川農産のマッシュルーム、広島 citrusfarms たてみち屋のレモン、北海道 しあわせチーズ工房のチーズ、東京 おつなのマグロのオイル漬け、岐阜 泉屋物産店の魚醤、神奈川 邦栄堂製麺の麺、沖縄 ペンギン食堂の島こしょう(ピパーチ)・はちゃぐみ、そして、著者である野村友里さんが長年作り続けているeatrip soilの胡桃醤油……。
単なるお取り寄せガイドではなくて、私たちは「食べること」で繋がっているのだと改めて気づかせてくれる喜びに満ちた一冊です。

木村綾子
1980年生まれ。静岡県浜松市出身。明治大学政治経済学部卒業後、中央大学大学院にて太宰治を研究。10代から雑誌の読者モデルとして活動。現在は文筆業の他、ブックディレクション、イベントプランナーとして数々のプロジェクトを手掛ける。著書に『いまさら入門 太宰治』(講談社)、『太宰治と歩く文学散歩』(角川書店)、『太宰治のお伽草紙』(源)など。
2021年よりオンライン書店「COTOGOTOBOOKS(コトゴトブックス)」を、2024年より同名で出版社を立ち上げる。一冊目の書籍は、町田康初歌集『くるぶし』。
https://www.instagram.com/kimura_ayako/
https://cotogotobooks.stores.jp/


※該当書籍の取り扱いは各店舗へお問い合わせください


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