集計結果で1位となった硬質プラスチック。プラスチックは石油由来の製品で硬度と柔らかさを絶妙に併せ持っています。安価で長持ちと私たちが生活する上ではとっても便利なのですが、これが一度海のごみになると、その極めて優れた耐久性が困った事態を引き起こすのです。
JEANの小島さんはビーチクリーン事前の講義でカラフルなプラスチックごみの破片がたくさん入った円筒型の容器を掲げました。もう元は何だったのか、分からないほど細かい破片になっています。
硬質プラスチックは紫外線や波の衝撃により劣化すると徐々にくだけて小さく、小さくなっていきますが、その強力な分子構造は簡単には壊れません。物質的には安定したまま半永久的に海を漂い続けます。細かくなればなるほど海の生きものたちが口にする危険性も高まります。もちろん私たち人間も、です。
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講義の中でアメリカの環境NGOアルガリタ海洋研究所が2001年に制作した映像「人工の海」を見ました。
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人工の海によれば、「世界の海にはプラスチックの破片ごみがないところなど既にどこにもなく、米国沿岸域で行われた調査では動物プランクトン450グラムの6倍に当たる2700グラムのプラスチック破片が漂っていた」とのこと。そして「魚の卵に似たレジンペレット(微小プラスチック)は既に多くの生物の口に入っていて、人に健康被害を与える恐れのある高レベルのPCB(ポリ塩化ビフェニル)なども検出されているが、環境ホルモンや生態系への影響についての研究はほとんどなされていない」と。小島さんもこの映像を初めて見たときはひどくショックを受けたと言います。
既にこの映像が制作されてから10年以上が経過していますが、小島さんによれば、「環境ホルモンの研究はまだ始まったばかり」。マイクロプラスチック、ナノプラスチックという用語も出てきていて、問題はより深刻化しています。使い捨ての生活を変えてみる。拾えるゴミは拾う。世界の海の現状を知るとその緊急度がどれほどのことか、身にしみます。
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日本製のサインペンなどを含むこれらプラスチックごみは北西ハワイの海域で暮らすコアホウドリのひなのお腹の中にあったもの。海のごみは生物多様性を脅かすものとして国際会議でも非常に緊急な課題とされています。